特殊合計出生率日本1位と2位の町がある徳之島全域で4月9日~11日の3日間、小学校入学の節目を祝う伝統的なお祝いが各家庭で行われた。地域ぐるみで祝うこのお祝いには、家族や親せきだけでなく集落の人、父母の職場の仲間らが100人規模で次々に訪れ、島料理や黒糖焼酎を囲み、みんなで新1年生の門出を祝った。
「祝入学」ののぼりも作成してお祝いを開いた加川家の新(あらた)くん
加川新(あらた)くんの家では等身大写真が入ったのぼりを家の正面玄関に飾り、本人は床の前に座り、次々と訪れる訪問客へお神酒と塩・昆布・するめが入ったぽち袋を手渡した。仲田家では新築祝いも兼ねてのお祝いで、新1年生の仁香(にこ)ちゃんは数多くの訪問客へ笑顔を振りまいていた。父親の仲田裕介さんは「年々、お祝いを行う家族が少なくなって行く中で、地域や友人たちの協力を受けて開くことができた。子どもにも地域とのつながりが大切なことを感じてほしい」と話す。
徳之島町の山(さん)小学校では唯一の新入生、岩本唯花(いちか)ちゃんの入学祝いを集落公民館で開催し、地域全体で祝福する温かい時間が流れた。
小学校へ上がる子どもが、地域の人々の前にきちんと立ち、人生の節目に自分の姿を示すこの風習は、徳之島で脈々と受け継がれてきた「くゎーどぅたから(子は宝)」の精神が根底にある。入学式は単に学校生活の始まりではなく、社会の一員として地域に認められて迎えられる、通過儀礼としての意味合いが深く、これが出生率を支える一つの要因とされている。
厚生労働省の2018(平成30)年~2022年平均の市区町村別合計特殊出生率は、徳之島町が2.25で全国1位、天城町が2.24で2位、伊仙町も2003(平成15)年~2012(平成24)年に2期連続全国1位で、徳之島3町は常時、合計特殊出生率の上位を占めている。少子化が全国的な課題となる今、徳之島の入学祝いは、子どもの門出を家族の中だけで完結させず、地域全体で受け止める。大人たちが祝いの席を通して「おめでとう」と伝えると同時に、地域の子どもとして認知し、一緒に見守ろうと確かめ合う場にもなっている。