特集

長寿の島・徳之島でインターネットと格闘する高齢者に聞く

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  光ファイバーの敷設など国内離島の中でもインターネットインフラに恵まれた状況にある徳之島で、高齢者が実際にそれをどのように使い、課題はどこにあるのか聞いてみた。

 相良勇さん(87歳)=中学校教員・日本人学校長を経て農村振興むらづくり相談員や鹿児島県人権擁護委員、母間校区振興会会長を歴任

 相良ワカ代さん(82歳)=母間校区女性連会長・生活研究グループ徳之島3町会長・各種団体の婦人部長など歴任

 ― 今回インターネットで見ようとしたコンテンツは?

 琉球沖縄学会主催のシンポジウム「琉球沖縄史と奄美諸島史-徳之島町史・和泊町の歩み刊行から-」が、徳之島の伊仙町で9月14日に開催予定でした。事前に申し込んで楽しみにしていたのが、台風の接近でインターネット配信になってしまい、それからいまだに見られない状況です。

台風のためオンライン開催となった琉球沖縄歴史学会による「琉球沖縄史と奄美諸島史」

 ― その日から今までどのような経過をたどっていますか?

 シンポジウム共催の伊仙町社会教育課へ「どのようにしたら見られるか」と問い合わせ、「ユーチューブを見られますか? もし見られるなら、ショートメールで送ったURLをポンと押してもらえれば見られますよ」と言われましたが、押しても他のものがいろいろ映って、シンポジウムまでたどり着けませんでした。

 ― (取材日である)今日はどのような対応を?

 (記者の)松岡さんに自宅に来てもらいスマートフォンで見ることはできましたが、大型テレビでユーチューブを映すことはできませんでした。詳しい方に電話もして聞いてもらいましたが、コンピューターかケーブルが必要とのことで、今日もテレビでは見られないままです。

 ― 他にも、インターネットや携帯電話で困ったことはこれまでありましたか?

 お金を払ったら見ることができる、という番組のためにいくらかお金を払って申し込んだものが、島外に住む子どもたちの指導を受けながらいろいろやってみたものの最終的に見られなかったことや、子どもたちと同じ機種にそろえた方がいいと言われて買ったスマートフォンが、いまだに自分たちでは使いこなせないことなど、難しい面はたくさんあります。

 スマートフォン教室にも通い、しっかり教えてもらったこともありますが、メモした内容を自分たちで再度やろうとしても、その通りにいきませんでした。高齢者向け携帯ではまだできたことも、スマートフォンでは機能が多すぎてできないことなど、悩みやストレスはあります。

 ― 使いこなせたらやってみたいことや希望はありますか?

 日常会話の中で予定や約束など、その場で自分のスマートフォンに入れたいのですが、分からないのでメモをして、それを打ち込みたいけどそれもまだできない状態です。それでも子どもたち世代などの若い人たちと、同じような方法でやり取りや情報の共有をしてみたい、そのためにスマートフォンを使ってみたいという気持ちはあります。

 ― 最後に今の気持ちを聞かせてください。

 集落内や校区内でも近い世代の人たちが少なくなる中で、5年前にやめた年賀状も復活することにしました。同世代のみならずいろいろな世代の方々と交流したいと今は思っていて、そのためには体も脳も鍛えなくてはならない。母校の卒業式や運動会、集落の会合など顔を合わせる人との付き合いも大切にしつつ、子どもや孫など遠くにいる若い世代ともつながるために、インターネットとも上手に付き合っていきたいです。このように悩みを聞いてもらう場やその場でどうしたらいいか教えてくれる相手も欲しいです。
スマートフォンで学会の様子を見る相良さん夫婦

 

勇さんが自主的に発行している「幸花便り」のテーマが書かれた直筆の書

年間1万2,000円で広告も募集している。ホームページへの問い合わせは、サイトの末尾に記載のメールアドレスか電話番号まで。

 

本記事は、奄美群島南三島経済新聞の特集「地域とインターネット」の沖永良部島版です。同じテーマで、奄美群島南三島(沖永良部島、徳之島、与論島)から1つずつ記事をお届けします。

・沖永良部島「内地と島の架け橋に 沖永良部島の国頭字が公式サイトとユーチューブ始める」
・徳之島「長寿の島・徳之島でインターネットと格闘する高齢者に聞く」(本記事)
・与論島(準備中)

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