与論島の按司根津栄(アジニッチェー)神社(与論町朝戸)で10月22日、同島出身の紅型作家「紅型染め屋 紅若菜」さんが、島の英雄「按司根津栄」の伝説をモチーフにした手拭いを奉納した。
同神社に奉納した手拭いは、琉球統治以前に与論島を治めたとされる英雄・按司根津栄の物語を描いた作品。
今回の制作は、島出身のミュージシャン・川畑アキラさんからのオファーがきっかけ。川畑さんが自身の楽曲「按司根津栄伝説」の音源化とミュージックビデオ(MV)制作を進める中、若菜さんが手がけた「与論十五夜踊り」の手拭いをSNSで見かけて感銘を受け、コラボレーションを提案したという。
若菜さんは島の画家・清野土半さんの長女。琉球大学卒業後に沖縄で紅型を学び、現在は大阪を拠点に活動。2004(平成16)年に作家活動を始め、今年で22年目を迎えた。2017(平成29)年の「親子2人展」と息子の誕生を機に故郷の動植物や伝統文化に向き合うようになり、今回の制作でも島のエコツアーへの参加や神社のウェブサイト、図書館司書の協力で集めた資料などを読み込み、推敲(すいこう)を重ねてデザインを仕上げた。
手拭いは、物語の展開がひと目で分かる絵巻物のような構成。伝承によって容姿などの記述が異なることから、若菜さんは「島の人々それぞれの胸にある思いを大切にしたい」と、按司根津栄の姿をあえて後ろ姿で表現した。
若菜さんは「長い年月をかけて大切に語り継がれてきた物語。その歴史や思いに触れ、形にする機会を頂けたことは、本当に貴重な経験。制作に携わらせていただけたことに、深く感謝している」と振り返る。
川畑さんは「若菜さんが島とのつながりを大切にし、丁寧に仕上げてくれたことに大きな意味を感じる。MVも来年秋までに完成させ、与論の歴史やカルチャーの魅力を発信したい」と意気込む。
同神社の市来大幸宮司は「手拭いを見るだけで按司根津栄のストーリーが良く分かる。一枚の中で鮮やかに表現されていて素晴らしく、氏子の皆さまも大変感動している」と話す。
販売日、場所は未定、「紅型染め屋 紅若菜」のインスタグラムなどで順次告知する予定。