沖縄県慶良間諸島の渡嘉敷島周辺の海で6月に紛失した水中カメラ一式が与論島のハキビナ海岸(与論町立長)に漂着し、7月17日、東京の持ち主の元へ無事返還された。SNSによる情報拡散とレコメンドがスピード返還を後押しした。
カメラの持ち主は東京都在住の福本健氏さん。6月21日9時ごろ、渡嘉敷島のダイビングポイント「神城」の水深約15メートル付近で、生き物の撮影に夢中になっている間にカメラ一式を見失った。同行していたダイビングショップ「NABE'S DIVE」の渡邊慎二さんが同日、インスタグラムで機材の特徴を投稿し、情報協力を呼びかけていた。
2週間後の7月4日、与論島のハキビナ海岸で、ビーチクリーン活動グループ「海謝美(うんじゃみ)」のメンバーがカメラ一式を発見し、警察へ拾得物として届け出た。同メンバーの打田昌子さんは、電源ランプが点灯したため最近漂着したものと推察し、自身のインスタグラムに写真を投稿した。
渡邊さんの事前の呼びかけと打田さんの投稿は、SNSのレコメンドなどを通じて結びつき、情報が伝達された。打田さんの投稿当日中に、福本さんと渡辺さんの双方から打田さんへ連絡が入った。蛍光グリーンのストラップの特徴などから福本さんのものと確認された。
その後、天候によるフェリーの欠航で一時は足止めされたものの、17日に福本さんの元へ到着。防水ケース(ハウジング)に守られていたため、カメラ本体や撮影データは無傷だった。
今回の漂流ルートについて、琉球大学理学部物質地球科学科教授の久木幸治さんは「東シナ海黒潮海域とは異なり、この海域の海流の流れる向きは変動性が大きいと考えられ、気象庁の海流図を見ると、期間中に北向きの流れが見られる」とし、「漂流物のルートは、こうした海流の特性に加えて、潮流や風、波浪などの複合的な影響を受けていると考えられる」と分析する。
久木さんは「海流」はほぼ一定の向き、あるいはゆっくりと変動する流れを指し、「潮流」は潮の満ち引き(潮汐)に伴う海水の流れとして区別して用いている。
福本さんは「海底に置いたほんのわずかな間に見失ってしまった。すぐ近くにあるはずなのに見つからず、目の前が真っ暗になった」と振り返る。「戻ってこないと思い、渡邊さんと新しい機種の購入を相談していた矢先の出来事で、最初は信じられなかった。打田さんをはじめ、警察など多くの人の善意に感謝している。南の島の人々の温かさを改めて実感した」と話す。
渡邊さんは「距離が離れていたので最初は驚いたが、うれしかった。将来は福本さんと一緒に与論島へ行き、打田さんに直接お礼を言いたい」と話し、ビーチクリーン活動やダイビングを通じた交流に期待を寄せる。