個人宅としては異例のスケールを誇るハロウィーンイベントが11月1日に徳之島で開催され、集落に明るい活気をもたらした。
高校生の力も借りて年々空間利用も巧みになってきた河地家のハロウィーンイベン
徳之島・伊仙町西犬田布(にしいぬたぶ)集落の河地昌子さん一家が中心となり、地元高校生や集落子ども会の協力も得て、民家の敷地全体にバルーンやカボチャ人形、大木からつり下がる幽霊などの大がかりな飾り付けを実施。島内から多くの参加者を招き、手作り感あふれるハロウィーンイベントを成功させた。
同集落に住む河地誠さん・昌子さん夫婦は、昌子さんの生まれ故郷である徳之島へ子どもを連れてUターンしてきた。4年前、息子や姪(めい)たちを楽しませてあげたいとの思いで自宅から隣地へ続く広い庭スペースに、ハロウィーンに合わせて飾り付けを行ったところ、遊びに来た友人に「出来栄えが素晴らしいので他の皆にも見せた方がいい」と言われ一念発起。
それ以降、口コミで来場者の輪は広がり、今年は趣旨に共感した徳之島高校美術部の教諭や生徒が飾りや看板をいくつも製作するまでになった。準備段階では高校生だけでなく、会場の掃除に始まり、照明取り付け、仮設トイレ設置、駐車場の草刈りを集落青年団が中心に担い、当日は集落の子ども会メンバーが飾り付けを手伝いに来た。夕暮れが迫る頃には手作り焼きマシュマロの提供や育成会によるたくさんの差し入れがあり、仮装をして盛り上げる来場者の姿も目立った。
大きなガジュマルが包み込む円形の空間では、海賊アートをテーマに飾り付けを施し、スクリーンに映し出された映画を楽しめるハンモックの上で、多くの子どもたちが思い思いの時間を過ごしていた。他の場所も墓や死神など多様なテーマを設定し、暗闇の中での巧みな照明と相まって「不気味ながらわくわく、ゾクゾクする空間」を作り出していた。
昨年は雨天に見舞われ、今回も不安定な天気と強風が吹く中での準備に悪戦苦闘しながらだったが、人が集まる時間には天気も風も落ち着いた。いいコンディションの中で多くの人が楽しい時間を過ごせたことに、河地さん夫婦は安堵(あんど)する。「何よりも近所のおばあちゃんや子どもたち、遠くから足を運んでくれた多くの方に楽しんでもらえたことがとてもうれしく、頑張った甲斐があった」と昌子さん。
河地さんの姪で、準備から手伝った小学5年の廣畑結衣さんは「友達とハロウィーンメークをしてハンモックで映画も見られて、とても楽しい時間だった」と振り返る。
「トーバル」は、島口で西犬田布集落の呼称。