徳之島・伊仙町にある景勝地、犬田布岬を擁する伊仙町西犬田布集落に約4000平方メートルのヒマワリ畑が出現した。ハート型の真ん中に白いベンチがポツンと置かれたこの畑には、SNSで見かけたという島内の家族連れが連日訪れており、ちょっとした観光名所になっている。
県道58号線から犬田布岬へ向かう途中に立てられた手作りの看板
2021年7月に世界自然遺産に登録された徳之島の西端にある犬田布岬は、琉球石灰岩の海蝕により海抜100メートル近く鋭く切り立った断崖で、奄美群島国立公園の一部であり、奄美十景にも数えられる群島内有数の景勝地である。
畑のオーナー、南郷良宜さんによると、5月3日に畑の土壌改良のためにヒマワリの種を全面にまき、7月上旬に一斉開花したという。キク科のヒマワリは古くから地力回復のための緑肥として活用されており、南郷さんは秋以降のバレイショ(ジャガイモの品種)作付け前にヒマワリを植え、開花後に機械で畑にすき込む予定を立てている。ヒマワリを植えることで土壌中の菌根菌が増え、深く根を張るため土壌の透水性が良くなる効果を見込む。
前年よりヒマワリが咲いた様子があまりにも見事だったため、妻の由希子さんと「あんなに見事にヒマワリが咲いたので、アートにしたら近所の子どもたちも喜んでくれるのでは」と話し合い、友人の廣畑真奈美さんと河池昌子さんに相談。「ぜひ、やろう」ということになり、女性3人で炎天下の中、鎌を持ち、ハート型をイメージしながら一本ずつヒマワリを刈り取っていった。畑を上から見下ろす位置から何度も確認しながら形を整えていき完成させた。当初は西犬田布集落の人たちへ宣伝していたものの、あっと言う間にSNSで拡散され、問い合わせも増えたため、道順の看板も手作りで設置した。
由希子さんは「これからもきれいにヒマワリを咲かせて訪れる方々に喜んでもらえるよう、畑の管理を頑張りたい。何より遊び心を忘れずに年を重ねていきたい」と話す。