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沖永良部島の玉城字で方言辞典作り 2000超の語彙をリストアップ

ホワイトボードに書き出した「しまむに」について話し合う参加者ら

ホワイトボードに書き出した「しまむに」について話し合う参加者ら

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 沖永良部島の玉城字の「しまむに」(同島の方言の呼称)の辞典を作る取り組みが9月29日、玉城字公民館(和泊町玉城)で行われた。

ホワイトボードに書き出したしまむに

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 玉城字に住む8人が参加し、「しまむに」で単語と例文を書き出して意味や用法を話し合った。沖永良部島の方言を含む国頭語(くにがみご)は、ユネスコが2009(平成21)年に消滅危機言語として発表している。

 活動は同字が本年度実施している伝統文化保存・伝承活動事業の一環で、3月からほぼ毎週続けており、今回で46回目。辞典の他、伝統民謡と伝統舞踊の記録も行う。「しまむに」は、同字に住む玉里(たまざと)和明さんが作成した方言記録集を元に、国立国語研究所准教授の山田真寛(まさひろ)さんの監修を受けて取り組んでいるという。活動費の一部は、和泊町が文化継承活動などに補助を行うアグトラスト基金を活用している。

 当日は「わぬわ にゃーとぅぬ くとぅわ むーる あてぃあん(私は玉城のことは全て知っている)」「あぬちゅーわ ゆーしゃぬ うにじ ゆー とー とぅとぅたん(あの人はゆーしゃの海でよくタコをとっていた)」(「ゆーしゃ」は同字にある海辺の呼称)などの例文を話し合った。8月26日には2193個の語彙(ごい)をまとめ、字で約200部を配布して意見を募集。「発音が違うと違う意味になる」「入ってない言葉もある」という意見が集まっているという。

 編集委員の前(すすめ)さんは「玉城の方言でなく言語だと聞いて驚いた。公民館も貸してもらえるなど、字も長寿クラブも応援してくれてありがたい。毎週の開催は大変だが、こうして人も集まってくれる。手作りのお菓子などを持ってきてくれるのもうれしい」と話す。

 母親が同字出身で、パソコンで記録係を担当する西田真弓さんは「方言も最初は分からなかったが、知っている単語が増えることで理解できていくのが楽しい。方言を覚えたいときに覚えられる環境があることも、次の世代につなぐ活動に参加できることもありがたい。ただ、(記録を)間違えられないので、皆さんの時間を頂きながら確認している」と話す。

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