人口減少地域におけるマルチワークによる人材確保のノウハウを広める「特定地域づくり事業協同組合全国フォーラム in ヨロン」が11月29日・30日の2日間、砂美地来館(与論町茶花)で開かれた。
主催は全国中小企業団体中央会。都道府県の中央会職員や同協同組合の組成を検討している行政の職員が参加し、総務省、厚生労働省、経済産業省、中小企業庁、鹿児島労働局、鹿児島県庁からも来賓を招いた。
特定地域づくり事業協同組合とは、地域人口の急減に直面している地域で、労働需要に応じ、複数の事業者の仕事を組み合わせて年間を通じた雇用(マルチワーク)を創出し、地域の担い手を確保する制度。
同フォーラムは、島根県に次いで組合設立数の多い鹿児島県内の事例と、与論町での経緯や運営状況、意見交換、現地視察でノウハウを全国に共有することを目的にしている。
与論町では2022年に同制度を利用した「ヨロンまちづくり協同組合」が設立。立ち上げには鹿児島県中小企業団体中央会と与論町も深く関わった。
開会のあいさつで、田畑克夫町長は「この組合は町全体の活性化に大きく貢献している。関係者と密に連携を取りながら課題の把握、解決に向けて必要な支援を行う」と話した。
基調講演では関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科兼任講師の勝瀬典雄さんが「特定地域づくり事業協同組合の持続可能な事業推進支援の方策」と題して講演。勝瀬さんは「この制度は地域を維持する仕組みづくり」と語り、中央会や行政に対して同組合制度を導入後も「積極的に支援を行い、自走できる体制づくりまで支援してほしい」と呼びかけた。
与論の運営事例の紹介の中で、ヨロンまちづくり協同組合の川畑力理事長は「行政との連携をしっかり取りながら、地域づくり人材を育てていきたい。みんなが幸せになる島を目指すには人づくりが大事」と強調した。
全国中小企業団体中央会事務局の佐久間一浩次長は「中央会は企業組合の設立や運営指導を得意にしているので、この事業協同組合制度を支援している。今回は関係省庁の方々にも来ていただいたので、地域づくり、働き方、中央会の支援、自治体のスタンスを含めて実務的に非常に意義のある集まりになった」と振り返る。