鹿児島大学高等教育研究開発センターによる「令和4年度奄美環境文化教育プログラム」が約6カ月の講義、実習を終え、3月5日、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の受講生を結んで終了課題に取り組んだ。
同プログラムは、奄美群島固有の自然環境や歴史によって培われてきた生活文化や精神性を学び、島民自身が島々の価値や魅力を見つめ直し行動へ移すのが目的。対象は奄美群島居住者と移住予定者で、昨年度に引き続き2022年度が2回目。バックグラウンドの異なる社会人経験者が、学びのためにこれまでを振り返り、島の未来を語り合いながら奄美の「環境文化」を深く学ぶプロセスは、「個々の受講生に異なる気付きや感動を与えている」という。
当日は初年度の受講生と2期目となる2022年度の受講生が各島1カ所に集まり、鹿児島大学と遠隔で結び、島ごとの議論を全体に発表する形式で進められた。受講生はこの日までに、専門家による座学と奄美群島の島々での現地実習を重ねてきており、その都度行われた振り返りワークショップの模造紙を前に、各島で他者の見方、意見を集約しながら島の特徴や得られた成果、今後の展望などを話し合った。受講生は同じ意識を持ち共に学んできた学友で、島々での議論は時に真剣に、時に和やかに続いた。
徳之島在住で1期目に受講した眞形綾子さんは「島々の違いを画面越しでも感じることができ、今まで住んできた徳之島も異なって見え、本当に勉強になった。コロナの影響がありつつも、こうして5つの島の人々でつながれることに感謝したい」と話す。
主催の同大法文学部高等教育研究開発センターの小栗有子准教授は「今回各島を会場として結ぶ初めての企画だった。この企画が実現できたのは、各島の第1期修了生が世話人となり現地の実情に合わせた企画を構想、実施してくれたから。社会人を対象にしたプログラムの醍醐味(だいごみ)は、受講生自らが経験したことや持ちうる知見、スキルを発揮して、学びの場を創造する主体者になっていくことであり、その可能性を大いに感じる会となった」と振り返る。
同大では次年度も趣向を変え、奄美群島全体を対象に社会人の学びを支えていく予定。