徳之島の畑で現在、鳥獣対策用の個性的な手作りかかしが散見され、通行人などの目を引いている。
特に今年は、鳥の中でカラスに次いで2番目に大きいといわれるヒヨドリによる農作物被害は、その年の気候や餌の状況で毎年大きく変動する。徳之島のヒヨドリ食害は実に13年ぶりの大被害となっている。生育期の「春一番」ブランド早採りバレイショや、収穫期を控えるタンカン、レタスや小松菜などの葉物野菜に深刻な被害が広がっている。
ヒヨドリは群れで移動することが多く、小さい体で狭い隙間にも侵入するため、鳥害の中でも対策が難しい鳥として知られている。対策のメインは目の細かい防鳥ネットを隙間なく張ることだが、広大な農地にかける手間も含め農家全体ができることではない。現状では大きな音を定期的に鳴らしたり、光るテープを張り巡らせたりする農地が多くみられる。さらに、例年以上に工夫を凝らした手作りかかしがあちこちに出現し、農家の奮闘が続いている。
目撃した人によると、ヒヨドリは群れで襲来し、一気に食べ尽くして飛び去って行く。特にこれから生育し収穫を待つバレイショは、葉っぱがなくなるとデンプン生成ができなくなり、例年通りの収穫は見込めない状況だ。
徳和瀬集落区長の里村忠弥さんは「あまりの被害のひどさにあらゆる手段を研究して試してきた。他の畑の個性的なかかしにもヒントをもらい、少し刺激的なものを作ってみた。こんなかかしで徳之島が宣伝され、人がたくさん来てくれたら鳥よけになるかもしれない」と話す。