
自動車の譲渡をきっかけに沖永良部島と徳之島の家族間に交流が生まれた。譲り手は沖永良部島で飲食店「private dining 陽-haru-」(和泊町国頭)を経営するほか、農業や漁業も営む後藤健太さん・大谷華南さん夫婦。島を越えた車の引き渡しに感謝の気持ちを伝えるため、車を譲り受ける徳之島在住の大保健司さん・由佳里さん夫婦が8月29日、同店を訪れた。
譲渡したのは、後藤さんが乗っていた日産のX-TRAIL。農漁業の暮らしに合った軽トラックに買い替えるため、同島のイベント情報などを配信するLINE公式アカウントで譲り手を募ったところ、徳之島に住む大保さんから連絡があった。当初、後藤さんは島内での譲渡を想定していたが、共通の友人がいることや、開催年度は違うものの奄美群島在住者の活動を紹介するトークイベントで互いに登壇していたことを知り、信頼して車を託した。
四駆好きという大保さんは募集を知った際、隣の島から連絡すると迷惑ではないかと心配したが、由佳里さんの勧めもあり連絡を決意。後藤さんから事前に見に来なくて大丈夫かと尋ねられたが、大保さんは「共通の友人もおり、お店の開店も記事を通して知っていたので信用していた」と振り返る。大保さんは業者を通じて徳之島に届いた車のきれいな状態に驚き、車内にあった後藤さんからのメッセージカードにも心が温まったという。「島生活が何倍にも楽しくなる」と喜ぶ。
徳之島にはまだ行ったことがないという後藤さん。「自分が行く前に、まるで子どもが先に行ったかのよう。有効活用してもらえる人に巡り合えて良かった」と話す後藤さん。後藤さん・大谷さん夫婦も年内には徳之島を訪れたいという。由佳里さんは「そのときはX-TRAILで島を案内したい」と再会を約束した。
当日は、共通の友人である水嶋健さんから大きな段ボール製の「鍵」が手渡され、和やかな雰囲気の中で記念撮影を行った。