
ブログ「先祖を探して」運営者で大阪府柏原市在住の鈴木裕美さんが8月20日、同島を訪れ、和泊町歴史民俗資料館専門員の伊地知裕仁さんなど5人で島内の史跡を巡った。鈴木さんの夫の義之さんは、14~15世紀に同島を治めたと伝わる世之主の末裔(まつえい)とされる。
今回で3度目の来島となる鈴木さんは、伊地知さん案内の下、芦清良字の豪族「マチブタ」を祭る拝山神社や、沖縄などの琉球文化圏で見られる石灰岩をくりぬいて造られた「トゥール墓」などを訪れ、現地の歴史に触れた。
鈴木さんは以前、夫から「(自分は)王様の子孫らしい」と話を聞いても、ネットで情報が見つからなかったため半信半疑だったが、義祖父の宗義経氏が残した資料をきっかけに家系や島の歴史に興味を持つようになった。その後、地元の歴史資料館に解読を依頼し、次第に調査の目的は家系図作成から琉球や沖永良部島の歴史全体へと広がっていった。
2021年2月以降は、調べた内容を親戚に電話で伝えるだけでなく、ブログで公開し、研究者から小学生まで幅広い世代や立場の人から問い合わせを受けるようになったという。今回同行した中田英広さんもブログを通じて知り合った一人で、帰省の時期と偶然一致したことで参加した。
今回訪れた芦清良字のトゥール墓は奥へ進むごとに墓の形に変化が見られる。伊地知さんは「技術の向上が見られ、造られた時代が異なるのでは」と話す。鈴木さんは「資料は少ないが、残っているものを見ることで歴史が身近に感じられる。過去があるから今の沖永良部島があり、歴史を知ることで未来に生かせることがある」と、史跡巡りや歴史を知る意義を話す。同行した義理の伯父に当たる宗善隆さんは「墓だけでなく、娘を海に連れて行ってあげたい」とも話す。