
沖永良部島の下平川小学校で6月5日、同島の方言「しまむに」の継承に向けて、同校と国立国語研究所の連携・協力校提携調印式が行われた。今後、教材や授業のプログラム作りなどで研究所が協力して、互いに連携しながら後世への「しまむに継承」に取り組む。
研究所の小木曽智信副所長は「研究所と学校の協定は初めてで画期的なこと。皆さんには、おじいちゃんやおばあちゃんの言葉を受け継いで、全国の方言継承の手本になってほしい。やりたいこともたくさんあると思うが頑張って」とエールを送った。
知名町の今井力夫町長は、しまむにであいさつした後、「わーぬことばわかたん?」(私の言葉が分かりますか?)という問いかけに応える児童らもいた。今井町長は「私が小中学生のころは方言を使うと首から名札を下げ、(最も使った人が呼ばれる)横綱になると水を入れたバケツを持って立たされた。皆さんの取り組みを誇りに思うと同時に感謝している」と話す。
しまむにについて、同町教育長による出題やAIを使ったクイズを行い、しまむにを歌詞に盛り込んだ歌「ひーぬむんのテーマ」を全員で合唱した。歌は研究所が作り、AIは研究所と鹿児島大学と地元住民が共同で開発したという。
同校で出前授業を行う研究所准教授の山田真寛さんは英語と「しまむに」であいさつした後、「おじいちゃんやおばあちゃんとの会話で頭に入っているしまむにの方が分かるでしょう? この島では『しまむに』を覚える方が簡単。あなたたちにかかっている。一緒に頑張ろう」と呼びかけた。
同校教諭の園田竜聖さんは「しまむには、朝の会や授業で子どもたちも親しんで使う。教員として責任も感じるが、AIや歌があることで今以上に使えるようになるのでは」と期待を込める。