海辺で見られる生物から自然や環境への関心を深めていくことを目的とした生き物観察会「金見イノー水族館」が8月3日、徳之島町金見崎海岸で行われた。
海水が透き通って生き物がよく見えるイノーはまさに天然の水族館
金見集落の活性化のため設立された一般社団法人「金見あまちゃんクラブ」が3年ぶりに主催した同イベント。講師には鹿児島大学名誉教授(元水産学部教授・理学博士)で、元徳之島町地域おこし協力隊の鈴木廣志さんを招き、小・中学生の親子を中心に約30人が参加。イノーと呼ばれるサンゴ礁に囲まれた浅瀬(礁池)で、さまざまな生き物と触れ合った。
観察会は約1時間で近場の3カ所を回り、サンゴやヒトデ、ナマコ、ウミウシ、カラフルな魚など、次から次へと生き物を見つけては質問をする参加者らに鈴木さんは終始引っ張りだこ。参加者には事前に鈴木さん監修の「金見イノー水族館いきものカード」「金見イノー水族館ガイドマップ」、メモ帳などを配布。海辺で観察しやすいように耐水加工を施しており、子どもたちは実際に生き物を見つけると進んでぬれた手でカードをめくり、マップを広げ、名前や特徴を確認する様子が多く見られた。
観察会後は金見公民館に場所を移し、見つけた生き物たちや海の環境について鈴木さんが解説。「金見崎海岸は、砂浜がある、川とつながっていない、みお筋(外海に通じる水路)があるなど、コンパクトな範囲で充実した環境が整っているのが魅力」と話し、「生き物たちは限られた環境の中で譲り合って生きている。共存によって多様性が保たれている。人間たちも見習いたい」とも。
徳之島の子どもたちについて、鈴木さんは「とにかく元気。活発で積極的。都会の子どもたちなら、こんな炎天下では活動できないのでは」と驚きを見せた。伊仙町から家族4人で参加した常琥之介君は「海にもいろいろな種類の生き物がいて、譲り合って生活していることが分かった。人もみんなそうやって生活できたらいいと思った」と話していた。
同法人代表の元田浩三さんは「集落全体が国立公園に指定されている金見の魅力は手付かずの大自然。ただ海がきれいだというだけでなく、この環境を守っていくことが大切だと思ってもらうには、そこにどんな生き物がいるかを知り、まずは関心を向けてもらうことが重要。大人が知ることで子どもたちにも伝えていける」と、知ることの重要性を説く。
次回は8月11日、落花生収穫体験イベントを開く。開催時間は9時~12時。参加費は、大人=1,000円、小・中学生=500円、未就学児無料。