暮らす・働く 学ぶ・知る

とくのしま伊仙まちづくり協同組合、全国に先駆け官民連携空き家対策開始

とくのしま伊仙まちづくり協同組合が移住促進のために取り組むことが決まった徳之島の空き家状況

とくのしま伊仙まちづくり協同組合が移住促進のために取り組むことが決まった徳之島の空き家状況

  • 8

  •  

 農林水産業を含めた地域事業所を中心に、担い手が必要な地域と地方移住を希望する人を就業面でつなぐ特定地域づくり事業組織として、2022年に立ち上がった「とくのしま伊仙まちづくり協同組合」通常総会が5月21日、伊仙町役場で開催された。

とくのしま伊仙まちづくり協同組合」通常総会のようす(伊仙町役場)

[広告]

 農業や認定こども園、介護福祉施設など7つの組合事業所に全国各地から雇用したIターン派遣職員6人を季節ごとに振り分け、不足しがちな離島での雇用状況を安定させながら、Iターン者の住居確保のため、特定地域づくり事業組織としては全国初の空き家対策事業を展開していくことも了承された。

 発足以来、北海道や関東、関西などの就業者を受け入れてきた同組織では、これまで6人が伊仙町で就業してきた。保育士の経験を生かして子ども向けイベントを開催する人や、仕事のほかに居住する集落の伝統行事に積極的に参加し、イベントで踊りを披露する人もいる。そうした徳之島への移住と就業を満たす人々がいる中で、課題として住居問題が大きく表面化してきており、総会では議事として扱われた。

 現在、伊仙町内で300~400軒あるとされる空き家はほとんどが流通していない物件で、その原因として家主が島外にいるケースや仏壇など移動できない私物が残っているケースが多い。移住者のみならず借家を探している人は非常に多く、空き家バンクや地元不動産の努力のかいなく、住みたくても借りられずに移住やUターンを断念する人もいる。その状況を踏まえ、同組合では移住相談から、仕事、家探しまでをワンストップで行うことを決定し、特定地域づくり事業を活用した組合が空き家対策事業に取り組む全国初の事例となった。

 義山太志理事長は「コロナ禍が明け人の移動は活発となったが、島内の人手不足の状況は逼迫(ひっぱく)している。移住してきた派遣職員の地域での活躍もよく耳にし、人口が減る中で大変喜ばしい」と話す。大保健司事務局長は「民間の強みを生かし、『移住窓口』『仕事』『住居』と切れ目のない支援をしていきたい。徳之島に帰って来やすい、移住しやすい土壌を作っていき、派遣職員の定住に向け、キャリアアップや創業支援などチャレンジできる仕組みもかけ合わせていきたい」と意気込む。

 移住・定住促進の一環として総務省が全国展開する特定地域づくり事業の中で、鹿児島県は全国2番目に組合数が多く、唯一県内連絡協議会があり、4月に発足した42道府県による「特定地域づくり事業推進全国協議会」では、塩田鹿児島県知事が初代会長となった。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース