空き家活用の取り組みとして地元住民も参加するアートイベントが1月21日~31日の10日間、武蔵野美術大学の学生、講師を含めたアーティストが徳之島伊仙町の空き家に滞在して行われた。
武蔵野美術大学建築学科鈴木珠美さんによる「うんのう(面縄)港芸術村」の模型
アーティストは徳之島に「満ちあふれる」エネルギーを自然や人から吸収し、地元参加者は普段触れることのない芸術に触れ、多くの子どもや大人が創造性を広げる体験をした。
同イベントは国土交通省「空き家対策モデル事業」を活用し、NPO法人「あまみ空き家ラボ」、あむとぅ式ハウス、旅するうなぎのねどこの3団体が主導。空き家の利活用促進と多様な島暮らしの実現を目指して、徳之島で空き家の循環を手がける島出身者と島外から特産品販売やアーティストの交流を通じて島への移住と空き家活用をバックアップする団体が連携した。
メインとなる1月27日・28日には、武蔵野美術大学建築学科生による地元ヒアリングを踏まえた舟形建築のデザイン模型展示、絵画を前にした対話型鑑賞会、お茶会、伊ナポリからの空き家事例紹介などが同時進行で開催された。
空き家をアトリエに見立てた会場では参加者によるデコレーションが施され、クレヨンやマジック、ボンド、色紙、粘土など自由に使える状態で終日住民へ開放。親子連れで訪れた住民は思い思いの作品を手がけ、元々空き家だったとは思えない空間で創造的な時間を過ごした。
卒業制作で「うんのう(面縄)港芸術村-徳之島伊仙町アートインレジデンス」をテーマに地元住民へのヒアリングを重ね、歴史や風土を学び、かつて伊仙町の中核だった上面縄集落の拠点化を模型で表現した鈴木珠実さんは「世代を超えて守られてきた聖地や語り継がれてきた物語を知るほどに、私が後世に伝えなければという思いが湧き、夢中で卒業制作に取り組んだ。徳之島の大自然と温かい人の中で、自分の人生の土台を作るような機会を与えていただき、徳之島や関わってくれた島の人々には感謝しかない」と話す。
徳之島におけるアーティストインレジデンスの取り組みは、今回を皮切りに空き家活用と連動しながら、今後も地域の持続可能なアートプロジェクトへ発展していく予定。