与論小学校(与論町朝戸)の5・6年生児童が11月2日、与論方言を使った演劇「ユンヌフトゥバ劇」を学習成果発表会の一環で披露した。演目は「もうひとつの按司根津栄(アジニッチェー)伝説」。
保護者や地域住民らは、児童らが方言を使ったり、助け合いながら演じる姿を応援するまなざしで観劇した。物語の終盤になると観客は、児童らの演技と太鼓と殺陣の演舞を使った戦いの表現で次第に物語に引き込まれ、最後は体育館が温かな拍手で包まれた。
内容は、与論島の伝説上の人物「按司根津栄」を題材に、800年前にタイムスリップした小学生らが、按司根津栄や与論島民、琉球国王との間で島を守るために奔走するコメディー風の物語。
同公演は文化庁の「文化芸術による子供育成推進事業」の一環で、劇団「スーパーエキセントリックシアター」が演技指導を行った。演目は2017(平成29)年に同劇団が与論島で島民と制作した演目を再構築している。方言は与論民俗村の菊凛太郎さんが指導した。9月から合計10時間(単位時間)の短時間で制作した。
同劇団で制作を担当する鈴木庸子さんは「人と自分は違うが、人の意向を目を見て、話して、くみ取る。その上で自分の反応を決める。それを台本を通して、体を動かしながらできるのが演劇で、教育の現場に取り入れられる理由になっている」と話す。
児童らを指導した同劇団の白土直子さんは「児童だけでなく、校長先生をはじめ担任の先生、関係者の方々がとても協力的だった。先生方のキャスティングが良く、適材適所だった」と振り返る。
児童らの方言について、菊さんは「とても少ない時間の中で、方言のせりふをよく覚えられた。最後はせりふに感情まで乗せる児童もいた。今回のように島外のプロや地域の大人、島の子どもたちが連携できる活動が続いてほしい」と話す。
按司根津栄役を演じた児童は「笑ってくれたお客さんがたくさんいて良かった」と話し、指導した教員や劇団員、菊さんへ「教え方が分かりやすかったので、しっかり覚えることができた」と話していた。