鹿児島大学法文学部小栗ゼミの学生13人が9月11日~15日、与論島で調査合宿を行った。学生らは島内の産業従事者や行政職員、教育関係者、高校生など、幅広い分野で聞き取り調査を行った。
今回の調査は、社会教育学の観点で与論島の現状・課題・可能性を学習空間に結びつけながら調査し、与論島の未来を考えるのが目的。
12日は与論町役場で役場職員や畜産関係者へ聞き取り調査を行った。畜産については、国際情勢で飼料が高騰するなどの課題や島外との連携についてなど、与論を取り巻く現状を熱心に聞き取った。13日は漁業・教育関係、14日は公民館関係などの調査を行った。
聞き取りを受けた畜産農家の原田諭さんは「学生が与論島の事について興味を持って取材してくれるのはうれしい。自分たちも頑張りたい」と話す。
参加した学生は「行政の支援頼りでなく、自分たちで作れるものは作る、協力できることは協力するという島民の意識を感じた」「島民はいろいろな仕事やボランティアをしている。ずっと同じ職に就いていることが普通だと思っていたが、仕事にもいろいろな形があるのだと、仕事に対するイメージが変わった」「『発展したい』というより『現状を維持したい』というキーワードを多く聞き、与論島が置かれている厳しい現状を感じた」などと話す。
ゼミを主宰する同大の小栗有子准教授は「実際フィールドに出て、書物では分からないことを調べるのがゼミの方針。調査した事をどうやって地域に、知的に還元するかということを目標に設定している。報告書は最低ラインで、学生なりの提言を示して島の人と一緒に考える機会を設けたい」と話す。