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徳之島で島民から「生き方」学ぶ 国際基督教大・人類学調査実習で

面縄こども園主催の歓迎会で島唄や三味線の体験をする国際基督教大学学生

面縄こども園主催の歓迎会で島唄や三味線の体験をする国際基督教大学学生

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 国際基督教大学(東京都三鷹市)教養学部の学生13人が8月16日、「人類学調査実習」報告会を徳之島交流ひろば「ほーらい館」(伊仙町伊仙)で開き、集まった多くの住民らと盛んな意見交換を行った。

徳之島で島民から「生き方」学ぶ 国際基督教大・人類学調査実習

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 学生たちは徳之島で人類学現地調査を行い、島民のアイデンティティーや子どもを取り巻く環境と意識、闘牛に懸ける熱量の由来、地域踊り継承の秘訣(ひけつ)などをテーマに住民への聞き取りを行い、その成果を発表した。

 学生たちは森木美恵文化人類学教授の「人類学調査実習」履修生で、異文化社会で地元の人たちとの信頼関係を築きながら、自ら設定した問い立てに対し、参与観察とインタビューを中心に人類学的調査の理論と方法を実践することを目的として来島。同時に、相手の視点から物事を理解する難しさと有益さを知ることを目標として、8月2日に入島予定だった。しかし、台風6号の影響が長引いたため、第1陣が徳之島入りできたのが8月11日。2週間の滞在予定は5日から6日に短縮され、大幅な計画変更を余儀なくされた。それでもめげずに話を聞かせてもらえる相手を探し、子育て世代やNPO代表、教師、闘牛関係者などに丹念に話を聞き、丹念に話を聞き取り、感じ取ったことを報告会に向けて寝る間も惜しんで準備した。

 40人以上の住民が集まった会場では学生それぞれが発表し、「子育ての中で先回りして世話し過ぎず、子どもが自立する過程を楽しんでいる」「共助の関係性の中で高齢者にも役割があり、生きていくこと自体を肯定している」「学力重視で自己肯定感が育ちにくい日本教育の中で必要な要素が島にはある」など深い洞察力に基づく発表を披露した。

 3年の川口花さんは「徳之島での生活を通して、人の温かさや自然との向き合い方、伝統をつなぐ姿勢を知った。自分の持つ価値観とは違う新たな価値観に出合え、島の皆さんに感謝したい」と笑顔で話す。調査協力者であり報告会にも参加した松田りえ子さんは「こんなに短い期間での学生さんたちのリサーチ能力と分析力には感心した。島の人の心情も読み取ってくれて感謝したい。特に日本の教育に必要な要素が島にあると言ってもらえたのがうれしかった」と話し、森木教授は「学生たちの声を真剣に聞き応答いただいた島の方々には感謝しかない。住民の皆さまの寛容さに支えられた実習だった」と振り返った。

 今回の実習では調査トピックに沿ったデータ収集活動を通して、現地の人々の生きる世界を自分の体を通して理解することを重視しており、学生らはそれを短期間で実現した。

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