徳之島高校(徳之島町亀津)で5月18日、「本年度の総合的な探求の時間:ホエールタイム」が行われ、2年生93人が体育館で島内の講師9人と共にこれから展開する探究活動の方向性を見定めた。
生徒たちは興味のあるテーマとそれに関連する質問を学校へ事前に提出。それを踏まえ、教育、経済、文化、闘牛、観光、商品開発、環境、生物、農業などのテーマごとに専門家9人を選定した。専門家は徳之島島内の製造業者、宿泊業者、環境省、映像会社、市町村職員など多岐にわたり、それぞれの活動や徳之島の最前線の情報を提供しながら、生徒たちの質問に答えた。
「徳之島の魅力や課題について理解を一層深める」「探求テーマに複数助言を得て、多面的な視点を持ち取り組む」「適切なリサーチクエスチョンを設定して今後の方向性を定める」「望ましい勤労観・職業観を考え進路意識を高める」が活動の目的。講師向けの事前ブリーフィングでは、若松拓郎教諭から「生徒たちはとても素直だが、半面大人の受け売りになりやすい側面がある。大人に向かって自分の意見を表現するのが苦手な生徒も多いので、できるだけ生徒からの意見を引き出してもらい、内発的気付きにつなげてほしい」との要望があった。
専門家たちは体育館で7カ所に分かれ、標本、動画、印刷物などを元に、同じ探究テーマを持った生徒たちに前半後半の45分ずつレクチャーを行った。生徒からの質問には「不安を抱える子とその家族に心安らぎ、学習できる場を作るには?」「徳之島オリジナルキャラクターグッズを作るには?」「ウミウシの生態を解明し、人が飼える方法を開発したい」など多岐にわたる質問が投げかけられ、それぞれのブースで熱心な質疑応答が行われた。
2年の清島凛海さんは「『自分のやりたいことをするのは三流、需要に応えるのは二流、両方の思いが重なった時が一流』という言葉が印象的だった。徳之島には原料が多いので、十分に利用、アレンジして商品開発するのが大事だと分かった」、幸美星さんは「地域の人と自分自身が共に思い描いているものを作っていくことが大切だと思った。子どものおもちゃを作りたいので、より多くの人の意見を聞きたい」と、それぞれ話す。
同校としては例年より早く1回目の探究活動を行い、生徒たちと島内専門家とのつながりを作り、「街へ飛び出して自分自身の気づきを深めてほしい」と期待する。今後は自主リサーチを行い、さらなる対話を深め、9月の中間発表を経て来年1月に成果発表を行う予定。