沖永良部島の国頭小学校(和泊町国頭)で2月4日、ソテツの実を使った粥(かゆ)とようかんの調理実習が行われた。同校では小学3年生を対象に「ソテツ大発見!わちゃえらぶ島」と題し、実の収穫・加工・調理などを通して食糧難の時代の「救荒食」だったソテツを学ぶ授業を行っている。児童たちは自ら収穫と加工を行ったソテツを調理し、「甘くておいしい」と笑顔を見せた。
ようかんは方言で「たちがん」と呼ばれ、毒抜きして粉末状にしたソテツの実と黒糖を混ぜて作る。講師の佐々木鐵雄さんは「昔は製糖するときに出る灰汁(あく)を使い作っていた。砂糖は全て現金に換えていたので、子どもに甘いものを食べさせたい親心だろう」と昔を振り返る。参加した子どもたちは「めっちゃおいしい」「甘くてふわふわしている」と笑顔を見せる。
調理を指導した田畑孝子さんは「この地域は昔、風が強くて米も芋も作れず、少量の米をふやかして作るソテツ粥が主食だった。米1合で家族7人は食べられ、母がそれ以上は入れるなよ、とよく言っていた。みんなこれで命をつないだ」と話す。ソテツ粥を食べた児童は「味はしないけどモチモチしてお餅みたい」「5年生6年生になっても、また作りたい」と話していた。
調理実習後、子どもたちは地域に住む大人6人に一年間の学習内容をスライドにまとめて発表。「ソテツの成長も学習でき、自分たちも成長できた」と一年間の学習を締めくくった。