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徳之島伊仙町でゆかりの地を巡る島唄バスツアー 唄で知る土地の記憶

ツアーのスタートとゴール地点となった犬田布岬で寝姿山をバックに「ワイド節」を演奏する中島清彦さん(右)と踊る参加者

ツアーのスタートとゴール地点となった犬田布岬で寝姿山をバックに「ワイド節」を演奏する中島清彦さん(右)と踊る参加者

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 師走に入り晴天が続く徳之島で12月6日、集落をバスで巡りその土地ゆかりの島唄を聴くツアーが開催された。告知後すぐに定員が埋まるほどの人気のツアーで、参加者は初めて聞く島唄、初めて知る歌と土地のいわれを興味深く聞き、最後は徳之島には欠かせない「ワイド節」と「六調」の踊りで締めくくった。

ツアーバスでの一コマ

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 ツアーの唄者は、徳之島を代表する中島清彦さん。月2回、教室を開く伊仙町の「阿権中島三味線教室」で、中島さんは常々「徳之島独自の『全島口説』を島唄として伝えるだけでなく、いつかそれぞれの集落を巡りながら唄ってみたい」という願いを話していた。そこに通う門下生で、徳之島ゲストハウスみちを運営する古林香奈代さんと奄美群島認定エコツアーガイドの常加奈子さんが企画し、奄美群島広域事務組合(奄美市名瀬港町)による「奄美の宝を次世代につなぐ助成事業」の採択を受けて今回の島唄バスツアーが実現した。

 犬田布岬でのオープニングは唄遊びや祝宴、行事の最初に必ず歌われる「朝花節」に始まり、その後、鹿浦、伊仙、阿権、中山各集落を巡るバスの中ではガイドの常さんによる歴史、伝承に基づく土地の記憶が語られた。特に日本各地で伝承が残る「羽衣伝説」の徳之島版「天地天降(てんちあもり)」の唄としての伝承は非常に珍しく、中島さんも「過去に聞いた人から歌詞の文字を起こした」と語りつつ、今も残る高倉の前でその歌を披露した。

 昼食は阿権集落にある前里屋敷で参加者全員で弁当を食べ、その後、中島さんによる奄美大島瀬戸内町での島唄との出合い、奄美大島北部の笠利節と南部の東節の違い、徳之島に残る島唄についてなど、40年以上歌い継いで来た人にしか語れない細やかな背景と多くの島唄が披露された。

 ツアー終了後、中島さんは「観光では見聞きできない隠れた名所を、まずは地元の人たちに知って体感してもらいたかった。今回はその1回目だったが、大成功といえるのでは。今後、このようなツアーを継続して、島を知ってもらいつつ、島外に暮らす人たちの島へ帰りたい気持ちにも火をつけたい」と話す。

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