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出生率日本一徳之島で「阿権校区文化祭」 9人の学び舎を多世代の絆が支える

秋晴れの徳之島阿権集落で開催された「阿権小・阿権校区合同文化祭」で日頃の学習成果を発表する児童たち

秋晴れの徳之島阿権集落で開催された「阿権小・阿権校区合同文化祭」で日頃の学習成果を発表する児童たち

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 少子化と共に学校の統廃合が全国で進む中、合計特殊出生率日本一を誇る鹿児島県・徳之島にある全校児童9人の阿権小学校で11月1日、「阿権(あごん)小・阿権校区合同文化祭」が開かれた。

鹿児島県知事から「地球環境を守るかごしま県民運動」の表彰を受けた阿権小学校島っ子ガイドの取り組み

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 小学校の学習発表会のみならず、集落住民と共に創り上げた文化の祭典では、多くの参加者と観客で盛況となり、子宝の島の地域力を見せた。

 同文化祭では、未来の島の担い手である小学生が、学年の違いを超え全校児童9人で島口劇や島っ子ガイド、エイサーの舞台で魅せ、その合間に婦人会や高齢者サロンメンバーによる踊りなど、多世代が強みである徳之島らしい構成で詰めかけた観客を沸かせた。

 展示コーナーでは児童が授業中に作成したエプロンや島の昆虫アートなどと並んで、地域の人々のシーグラスコップや着物のリメーク作品などが並び、小さな小学校の体育館は所狭しと力作が並んだ。

 普段は高齢の人が主に使う徳之島の島口は、ユネスコにより絶滅危惧言語に指定されている奄美語の一部で、島口劇「阿権ちゅうぬ宝」では20分間の寸劇を全校児童が流ちょうな島口で見事に演じ切った。続く学習発表「島っ子ガイド」では、地域の歴史や自然など、大人も知らない徳之島や阿権集落にまつわる話題をクイズ形式で会場全体に問いかけ、その深い知識と発表力で大人たちをうならせた。

 他には阿権集落へ移住してきた今村康朗さんが、地域で活動する中で感じた阿権の魅力を「阿権子ども会事例発表」で伝え、移住者を温かく迎え入れる地域の風土を伝えたほか、小学生も参加した地元太鼓集団「黒潮太鼓」の迫力ある演奏、高齢者の「さわやかサロン」による健康体操、婦人会による「ふれあい音頭」が祭りを彩った。

 発表者の中で最高齢の常山タニさん(97)は数多くの着物のリメーク作品を披露し、「子どもたちと一緒に歌ったり踊れたりするのが楽しいし、昔ながらの手作り着物を見てもらえてありがたい」と話した。

 当日は阿権小学校の歴史を振り返る展示会もあり、創設以来の歩みを写真や資料で知る事もでき、来場者は懐かしいシーンに見入っていた。阿権小学校では全国からの離島留学生を募っている。

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