
与論町地域福祉センター(与論町茶花)で6月14日、琉球弧世界遺産学会主催の公開講座「与論の『地域遺産』と活用」が開かれた。
当日は、与論町教育委員会の南勇輔さん(学芸員)が「史跡『与論城跡』から考える与論の地域遺産」と題して基調講演を行った。南さんは国指定史跡の与論城跡を、歴史や、城郭遺跡としての価値だけでなく、与論島の民俗、自然史としての価値、学びや観光、憩いの場などとしての価値を包括する「地域遺産」であると発表した。
そのほか、グスク研究所主宰の當眞嗣一さんによる「解題:沖縄のグスク、与論のグスク」、与論郷土研究会会長の麓才良さんによる「与論の地域遺産 その保全と活用」、沖縄県文化協会事務局の大城秀子さんの「『おもろさうし』にみえる与論」、沖縄大学特別研究員当山昌直さんの「与論の人と自然のリンケージに生物文化多様性を学ぶ」、やんばる学研究会宮城邦昌さんの「やんばるに残るユンヌ(与論島)の生活痕跡」など、さまざまな視点から、与論島の地域遺産と沖縄との関係を読み解く講演が行われた。
質疑応答の中で當眞さんは「日本の史跡指定では、与論グスクも『与論城跡』として指定されており、行政上の呼称としては『城跡(じょうあと)』が用いられる」と説明。併せて、文化財の本質的価値とは何なのかを知ることの重要性を強調した。
聴講した与論島のエコツアーガイド、佐藤伸幸さんは「与論グスクを単体で考えてしまいがちだが、今回いろいろな先生の講演によって広域で見ると琉球の中の一つなのだと再認識できた」と話す。
琉球弧世界遺産学会の濱口寿夫副会長は「沖縄県外での公開講座を行うのは今回が初めて。少し欲張って内容を詰め込み過ぎてしまったが、地元の方々にたくさん集まっていただいて、とても良かった」と振り返る。