
66年ぶりに校舎を建て替え、1月8日に新たな学び舎での学校生活が始まった町立東天城中学校(徳之島町花徳)で6月14日、本年度最初となる結い学「徳之島学」が行われた。
奄美大島自然保護協議会顧問で、東京大学医科学研究所の奄美病害動物研究施設に40年間勤務した服部正策さんをゲスト講師に迎え、徳之島では身近だがあまり知られていないハブの生態を、実物を見たり表皮を手に取ったりしながら生徒たちが学んだ。
前日から徳之島入りしていた服部さんは、2011(平成23)年からハブの定点調査を行ってきた同校裏山から県道にかけて前夜に探索を行い、160センチ級の大型ハブと子ハブを捕獲して、当日の講義に臨んだ。会場は44人の生徒とその保護者、教員で埋まり、時に実物をのぞいたり、牙や表皮を手に取って観察し、初めて知る内容に聞き入っていた。
世界自然遺産登録にまつわる話としては、当初徳之島は外れる可能性があったが何とか同時登録にこぎ着けた経緯、オビトカゲモドキやワタセジネズミ、トクノシマカンアオイなど独自の適応、進化を遂げてきた動植物の写真を見せながら、興味深い話をテンポよく進めた。後半のハブの話では、黒ハブは徳之島の犬田布から崎原にかけてのみ見られること、ピンクハブは10年に1度の頻度で現れること、沖縄のハブはおとなしく、徳之島のハブは経験豊富な研究者でも身構えるほど攻撃的であることなどを話した。
生徒からは事前に36の質問が挙げられていた。「ハブは爬虫(はちゅう)類なのになぜ卵を守るの」「ハブに優しい心はないの」「役場の買い取り価格はなぜ3,000円なの」などの率直な質問に対し、服部さんは一つ一つ丁寧に答えていった。
同校では今後も、総合的な学習の時間を利用して、フィールドワークも含め「徳之島学」を展開し、学習発表会で発表していく予定。