与論町で12月11日、「与論城跡」発掘調査現地説明会が開催された。島民をはじめとした約30人が参加し、同町教育委員会学芸員の南勇輔さんの説明に耳を傾けた。
与論町教育委員会は、2019年度から5か年計画で与論城跡の国指定を目指した調査事業を実施。本年度の調査は与論城跡の崖下部分の城域を確認することを主な目的とし、10月18日から12月中旬にかけて発掘調査が行われた。
今年の発掘調査では、ガラス製の勾玉(まがたま)や小玉なども出土した。それにより、城跡は14世紀後半~15世紀前半ごろに利用されていた時期である可能性が高いと推察されるという。併せて、そのエリアが祭祀(さいし)に関わる人物が利用していた空間である可能性も示唆された。
南さんは「与論城跡はグスクと呼ばれる琉球系の城郭遺跡の北限とされており、かつ沖縄島以外に築城されたグスクの中では最大規模であり、類例が少ない断層崖を取り組む城域を持つなど学術的に高い評価を受けている。今回の説明会では発掘調査成果を基に分かったことや遺跡の現状を多くの方に知っていただくことを目的にした」と話す。
説明会に参加した男性は「実際に発掘調査が行われた場所を見ながらの説明はとても興味深かった。与論島の新たな観光資源になれば」と期待を込める。