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徳之島「ネリヤカナ屋」、月桃染めウエディング衣装初披露 島の自然と融合

家族3人笑顔での撮影風景(写真提供=ナカトリップ)

家族3人笑顔での撮影風景(写真提供=ナカトリップ)

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 徳之島の弁当販売店「ネリヤカナ屋」(徳之島町亀津)が展開する月桃染めの衣料ブランド「月桃獅子徳之島」のウエディング衣装が10月19日、島内で行われたフォトウエディングに初めて貸し出された。

ムシロ瀬での撮影

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 衣装は島内で暮らす夫婦と3歳の娘が着用し、撮影は島内のフォトグラファー「ナカトリップ」さんが手がけ、月桃の実や葉などを用いた草編みの装飾は島内のハンドメード作家「kubako」さんが制作。ソテツの群生地「ソテツトンネル」や花こう岩の岩場「ムシロ瀬」など徳之島ならではのスポットで、島の人たちの協力を得ながら撮影が行われた。

 同店を営むのは、2023年1月に神戸から移住した橋本健司さん・舞さん夫婦。舞さんは徳之島3世、健司さんは沖永良部島3世で2人とも奄美群島にルーツを持つ。2人は神戸でアジアン料理店を経営していた経験と、舞さんの曽祖母が徳之島で商いをしていた縁から、今年6月6日に弁当販売店「ネリヤカナ屋」を開業。屋号に由来する「ネリヤカナヤ」は、奄美地方の方言で「海のかなたの楽園」を意味する。

 町の制度や移住定住支援などには頼らず、集落の人とのつながりや助言を大切に暮らしてきたことが自然と広がり、自らの菜園「ライオンファーム」で育てた野菜の販売や、自家栽培した無農薬の月桃で染めた衣類を販売する「月桃獅子徳之島」など、暮らしと仕事が自然とつながる形で事業展開を図っている。

 染料に月桃を選んだ理由について、橋本さんは「家の周りに自生していたことや、かつて島で草木染が盛んだった話を集落の人に聞いて心を動かされた。島の豊かな土壌で育つ植物の生命力にも魅せられた。自分たちで育てた無農薬の月桃を染料にし、一つ一つ丁寧に手染めしている」と話す。「遊び心で始めた」という今回のウエディング衣装については、「島で暮らしていく人たちにこそ、島の植物の力や、草木染などの薄れゆく文化に触れてもらうきっかけになれば」とも。

 島内でウエディングの撮影を何度も行っているフォトグラファーのナカトリップさんは「月桃染めの柔らかな色合いが徳之島の背景に溶け込んでいる。島らしいウエディングの新しい形かもしれない」と話す。

 最近、橋本さん夫婦に第一子となる女児が誕生し、徳之島の方言で月桃を意味する「さねん」と名付けた。今後はベビー服や子ども服も展開していく予定で、「島の恵みをまとう暮らし」の提案を続けていくという。

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