鹿児島県・沖永良部島で、島の基幹農作物の一つであるジャガイモの植え付け作業が始まった。和泊町に拠点を置く皆村農園でも作業が進められており、今季の栽培が本格化している。
皆村農園は平均2反規模のほ場を積み重ね、現在は約40ヘクタールの単作経営を展開。毎年の土壌診断結果を元に施肥量を抑え、観賞用で緑肥になるヒマワリを導入して地力を高めるなど、環境への負荷を軽減した持続的な栽培方法を実践している。植え付けでは、自家採種と北海道産の種芋を併用し、株間25センチ・10アール当たり250キロの密度で播種。強風対策の防風ネットやドローン防除など、島特有の気候に合わせた技術を活用している。
毎年植え付けの時期~収穫期には、全国各地からボランティアバイトも来島。若者を中心に多くの人々が滞在し、作業に汗を流す。限られた人手を補いながら、島の農業現場を支える貴重な存在となっている。観光とは異なる形で島と関わる人々が増えることで、地域全体にも活気が広がっている。
皆村農園は、2025年全国優良経営体表彰を農林水産省「全国担い手育成総合支援協議会」から受賞。10月23日に鹿児島市内で表彰式が行われた。皆村正樹社長は「全国の取引先、商品を購入してくださる皆さまに、安心・安全な商品を届けられるよう、精いっぱい頑張りたい」と意気込みを見せる。
今後は栽培面積の45ヘクタール規模への拡大も視野に入れており、地域の農業基盤としてさらなる発展が期待される。沖永良部島のジャガイモは、島内外の食卓や加工品の原料としても高い需要を誇り、今年も豊作への期待が高まっている。