
「シマ唄サミット in おきのえらぶ」が9月21日、おきえらぶ文化ホールあしびの郷・ちな(知名町瀬利覚)で開催された。主催はおきえらぶ文化のまちづくり実行委員会で、後援は両町の文化協会。奄美群島各地の唄者が一堂に会してシマ唄を披露し、多くの観客でにぎわった。
当日は、喜界島の川畑さおりさん、徳之島の指宿桃子さん、奄美大島の前山真吾さんと里朋樹さん、沖縄本島の仲宗根創さん、沖永良部島から前田博美さんが出演。オープニングは「はたの三味線教室」が務め、沖永良部高校エイサー部の部員らが仲宗根さんと共演した。会場の「あしびの郷・ちな」は今年で25周年を迎え、節目の舞台を飾った。
実行委員長を務めた第76代奄美観光大使でミュージシャンのハシケンさんは自らも演者として登場し、「語り・ワイド節誕生物語」を披露。副実行委員長で自称「民謡オタク」の波多野雅也さんは、プログラムに合わせてシマ唄のつながりを解説し、沖永良部の「えらぶ百合の花」と徳之島の「花徳の枕節」の関連性などを紹介。会場では他の島のシマ唄にもかかわらず、聞き覚えのある旋律に驚きの声が上がった。
前田博美さんは祖母の綾子さんと共演。前田さんは「仲間ができたのはシマ唄のおかげ。これからもシマ唄で沖永良部島と奄美群島を盛り上げたい」と意気込む。綾子さんは「博美が10歳くらいの頃から敬老会に連れて行って一緒に歌った。今の前田博美があるのは皆さまの支えのおかげ」と孫との歩みを振り返り、感謝した。2人は「御酌節」を披露し、観客は「がんどぅーや」と合いの手を入れ、温かな拍手が響いた。最後は出演者全員がワイド節やサイサイ節などを披露し、観客の一部も壇上に上がり踊りを楽しんだ。
鑑賞した沖良子さんは「最高。シマ唄のイベントには参加しているが、奄美群島の唄者が一堂に集まるのは初めて」と話す。ハシケンさんは「奄美群島の唄者が集まれば成功すると思っていた。沖永良部のシマ唄は、他の島にあるようなとっつきやすいものでないが、原初的な民謡が残っていることを島の人たち自身が知らない。いいものがあるんだと気づいてもらえたら」と期待を込める。