
与論島のサザンクロスセンター(与論町立長)で8月31日、中高生向け「建築体験ワークショップ」が開かれ、建築の魅力講習と木製ベンチの製作を行った。
同イベントは与論高校3年の岡本一莉さんが主催。建設業の人材不足が進む与論島で、中高生を対象に建設業へのイメージアップを図ることを目的に開いた。与論高校生4人と与論中学生4人のほか、島おこしインターンシップで来島中の大学生も参加した。
参加動機は、建築やものづくりへの興味、純粋な好奇心、地域づくり活動の参考にしたいなどさまざま。島の現役大工や与論町海洋教育推進協議会、与論町観光協会が協力した。
建築の魅力に関する講習では、現役大工が講師を務めた。大工を志したきっかけややりがい、苦労、都会と島の大工の違いなどを話した。
実技では、大工道具の紹介後、大工のサポートを受けながら作業を分担し、ベンチ1台を完成させた。参加者は手のこや鉋(かんな)、のみ、電動工具などを慎重に扱い、大工の仕事を体感。協力した大人たちも、楽しそうに作業する中高生を興味深そうに見守っていた。
岡本さんは「総合的な探究の時間『ゆんぬ』で人口問題をテーマに探究していた。移住者を増やすには住居が不足している問題に直面し、その原因の一つである建設業の人材不足に注目した」と開催経緯を説明する。中高生にイメージ調査をしたところ、「危険」「難しそう」という声が多かったと言い、「マイナスイメージを払拭し、少しでも建築業に関心を持つ若い世代が増えればと企画した」と話す。
参加した生徒からは「木材を切る技術は、10年以上も努力を重ねた結果だと知った。大工をはじめ、建築業の人はすごいと思った」「講師の大工さんの動きが、やってみると全然まねできなくて難しかった」などの声が聞かれた。
講師を務めた大工の一人岡本真次さんは「若い人向けの講習をいつかやってみたいと思っていた。大工の仕事は、実際にやってみるとどんどんうまくなる。この楽しさを味わってくれていたらうれしい」と話す。