
沖永良部島の和泊中学校(和泊町手々知名)で7月30日~8月1日の3日間、小学3年生~中学3年生を対象とした「世界とまちをつなぐSTEAMイベント」が開催された。3日間で延べ86人が参加。自由研究とプログラミングを使った光の作品作りに取り組んだ。
主催は和泊町教育委員会で、企画運営は認定NPO法人「Teach For Japan」。STEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学を統合した学び)を通じて子どもたちの探究心と創造力を育むのが目的。パナソニックホールディングスの社員2人も講師を務めた。
1日目は町内を歩いて自由研究のテーマを探し、タブレットやパソコンを使って調査や考察を行った。カブトムシやクワガタの構造や寿命を調べた児童、絶滅したヨロイリュウについて調べた児童のほか、「なぜ島の農家が減っているのか」という課題に向き合い、「農家を助けるロボットを発明したい」と発表する児童も現れるなど、発見と発想にあふれた場になった。農家の課題について調べた住吉小学校3年の片山岳君は「調べているうちに疑問が出たので、また調べたい。次は漁師の人数や大変さを調べたい」と、次の探究に向け意欲を見せた。
2~3日目は、光をテーマにしたプログラミングによる創作活動に取り組んだ。完成した作品は、大阪・関西万博の「ノモの国」ブースで8月5日に展示され、参加者らが同島から会場を訪れ、自らの作品が多くの来場者に見られる瞬間を体感した。
パナソニックホールディングスの清水俊之さんは「光の作品を大阪の講師に見せたところ、『沖永良部の子に負けていられない』と感動していた。島の子どもたちに未来は無限に広がっていることを感じてもらいたい」と話す。
企画・運営を担った同NPOの友弘一志さんは、5月に島内の授業を視察。「塩作りや黒糖作りなど、既に地域に根ざしたSTEAM的な学びが存在しており、そのことが今回につながった。学年や所属に縛られず、関わり、自分で目標を立てることで他者との比較でなく自己探求として学びが深められた。周りの大人たちが楽しみながら関わったことにも影響を受けたのでは。多様な最適解を見つける力となり、自信につながれば」と期待を込める。