
沖永良部島で7月25日~27日に開催された移住体験企画「おきのえらぶ島 おためし協力隊」に、愛知県在住の中田悠斗さんが参加した。中田さんは祖父母が島出身の「えらぶ3世」で、今回が初来島。かねて気になっていたルーツの島をたどる3日間となった。
おためし協力隊は、観光協会が地域おこし協力隊の募集に先立ち行う2泊3日の体験ツアー。島での暮らしや仕事環境を実際に見て体験し、移住や協力隊応募の判断材料にしてもらうのが目的。今回、東京・兵庫・愛知から集まった20~30代の男女4人が参加。「人と関わる暮らしがしたい」「観光地化されていないのどかな島に住みたい」「アーリーリタイア後の居住地として興味がある」など、それぞれの思いを胸に3日間、地域住民との交流やケイビング(洞窟探検体験)などの観光アクティビティーなどを通じて島の魅力に触れた。
中田さんは愛知県出身の26歳。幼い頃から祖父に島の民謡や昔話、現在の住まいに行き着いた経緯を聞かされ、いつか訪れてみたいと感じていたという。小学4年から野球を続け、阪神タイガースの近本光司選手のファンでもある中田さんは、近本選手が自主練習のキャンプ先として来島していることを知って驚くとともに、選手のSNSを通じて島の情報を追っていたという。おためし協力隊の募集を知った中田さんは「今年か来年に行こうと思っていたが、今がタイミングだと思った」と動機を話す。同じ日に募集を知った父・功一さんからも勧められた。
今回の滞在では、祖母の姉との再会も果たした。中田さんは「あっという間の3日間。コンビニやチェーン店がないというイメージだったが、思った以上に魅力にあふれていて、みんな優しくて、気配り上手で心地いい。近所付き合いのない都会とは全く違い、温かい島だと感じた。滞在中は友人にいいところだと連絡した。自慢したくなるルーツの島」と滞在を振り返る。
中田さんの父・功一さんは「都会での社会人生活に疲れ気味だった息子にとって、リフレッシュになればと思い紹介した。島の人の情けや優しさに触れることで、人間関係が希薄になりがちな社会でもがいている彼が人生を見つめ直す機会になれば」と期待を寄せる。