沖永良部島・和泊町が10月1日、コンポストなど家庭用生ゴミ処理機を購入した世帯に購入金額の最大3分の2を助成する事業を始めたが、10日間で予算の8割に達し、当初想定していた受付期間を6カ月から1カ月に短縮した。
助成対象の生ゴミ処理機には、熱や風で乾燥させる電動型と、発酵させ堆肥化させるコンポストに加え、キエーロが含まれるのが同事業の特徴の一つ。キエーロは、神奈川県葉山町在住の松本信夫さんが開発した箱型の生ゴミ処理器。土の中に含まれるバクテリアが生ゴミを水と二酸化炭素へと分解する仕込みで、全国各地の自治体で利用が推奨されている。
和泊町町民支援課の衛守歩さんは「バクテリアは太陽光と気温で活発になり生ゴミを分解する。冬は分解能力が落ちるが、沖永良部島は年を通して平均気温が20度を下回る月が少ない。南の島向きでは」と話す。キエーロの製造は同町内の伊地知木工に、ミニキエーロはシルバー人材センターに、それぞれ依頼した。
想定を超える応募の理由について、衛守さんは「町民の環境意識の高さ」を挙げる。農業を営む家庭が多いことから生ゴミを堆肥になる資源と考える意識がある一方、畑に埋めるとカラスや野良猫に荒らされるなどの課題があった。キエーロという方法の提案が注目を集めたという。
事業の策定には、ゴミを出さずに大人も子どもも楽しく遊べるイベント「あしきぶふぇすた」を島内で、2016(平成28)年から毎年開催している「あしきぶふぇすた友の会」も協力。同会代表の吉成泰恵子(たえこ)さんは、「みんなが無理なくできる生ゴミ処理が島で広がるのはとてもうれしい。島、地球、人に優しい生活の知恵や取り組みを共有し輪が広がれば」と期待を込める。
衛守さんは「離島は都会と違い、限られた資源の中で独自の手段を考えないといけない。離島向きの情報があればどんどん頂きたい」と島内外に向けてメッセージを送る。