
沖永良部島の和泊町中央公民館(和泊町和泊)で5月9日、「わどまり学」の第1回が開催された。郷土研究者で和泊町在住の先田光演(みつのぶ)さんが登壇し、「中世の沖永良部島」を題材に約2時間の講義を行った。
同島の各集落に伝わる中世の豪族伝説や、集落ごとに信仰対象の山があったこと、それらの事象の共通項から分かる琉球とのつながりなどを解説。10人の受講生が聞き入り、最後には大きな拍手が送られた。同講座は全10回で、「農林水産業」「地質と成り立ち」などの題材ごとに島内外から町誌の執筆者を招き講義を行う。和泊町と知名町から14人の申し込みがあった。
和泊町は昨年5月、同町の歴史や文化、自然などの情報を一冊にまとめた町誌「和泊町の歩み」を刊行。その活用として、執筆者らが講師を務める郷土学習講話を町内の中学生に行ったところ、町民から「大人が学べる場も設けてほしい」という要望があり、毎年開催する公民館講座の講座として開くことになったという。
受講生の松下敦代さんは「沖永良部島は、(自身の出身地である)鹿児島本土に比べて琉球の文化とのつながりが強いところが面白い。島では自然や先祖などの神様への信仰心があることが心地いいと感じる」と話す。
町誌の編さん委員も務めた先田さんは「地域の伝承の価値を見つけ出す努力が、(受講生の)生き方にもつながれば」と期待を込める。