
沖永良部島の和泊幼稚園(和泊町和泊)が3月末で休園し、2751人の卒園を見届けた55年間の歴史に幕を下ろした。
保護者からの提案で、3月25日は園児と保護者、卒園生らが集まり幼稚園に感謝を伝える「みへでぃろ会」を開催した(「みへでぃろ」は方言で「ありがとう」の意味)。当日は約50人の関係者が参加。カレーを作って芝生の上で食べた後、園児がダンスを披露したり、関係者らが園舎に設置した幼稚園へ感謝を伝える看板について紹介したりした。
同園で幼児教諭を経て退職後も保育補助として計35年間勤めた田中美保子さんは「食べたり遊んだりできるようバナナやパッションフルーツなどの植物も植樹してきた。餅つきや夏祭りなど行事への参加を通して親子が共に成長できた場所。大人になった教え子たちが島で働いているので、役場や病院、運送関係などで彼らに助けられる場面は多い」と振り返る。
同園卒園生で、3人の子どもを通わせた松瀬珠美さんは「自然とともに遊べる幼稚園で、保護者としても関われて本当に幸せだった。ここで学んだ幼児教育が、その後の私たちにどんな影響を与えるか身をもって感じている。こんな教育を今後も島でできるように願っている」と話す。
今後、園舎の一部は和泊町シルバー人材センターが運営する学童「のほほん」の施設として活用される。田中さんは「これからも園舎には使命があると思う。庭なども、親子が遊んだり弁当を食べられたり、自由に集うことのできる公園のようになれば」と期待を込める。