旧暦の3月15日に当たる4月23日、国の重要無形民俗文化財「与論十五夜踊」が与論地主神社(与論町立長)で奉納された。
嶋中安穏と五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する祭りである十五夜踊は本土風の一番組と琉球風の二番組で構成されている。
今回は40年以上ぶりの演目となる「松尾の姫」が奉納され、境内に集まった島民や観光客が島の伝統的な芸能に注目した。
同演目が奉納された背景には、長年一番組の踊り手として全演目を覚えた森武弘さんの引退がある。「覚えている演目を受け継ぎたい」という思いから、今年に入り毎週水曜に指導した。森さんは「覚えているものは一通り教えてから辞めようと思っていた。残った人が今まで覚えたことを思い返しながら練習してほしい」と話す。
元来世襲制の同祭だが、島外出身で移住してから一番組に入った橋本康宏さんは「演目を引き継げなくなるのが一番避けたいことなので、新しい人が入るまで間を埋める手助けができればいいと思っている」と話す。世襲で入って15年になる土持忠弘さんは「今後は人数的にできる演目や衣装をどうするかなど、みんなで考えてやっていきたい」と話す。
解説付きのツアーに参加した来場者からは「琉球の影響を受けているというので、共通する部分があるのかと思いながら興味深く見た」「解説があることで裏話や歴史的背景を聞きながら見ることができて良かった」などの声が聞かれた。