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徳之島で新年初のホエール・ウオッチング 身近に迫る迫力に歓喜

姿を現した親クジラと歓声で動画を撮る参加者(写真提供=鈴木竜爾さん)

姿を現した親クジラと歓声で動画を撮る参加者(写真提供=鈴木竜爾さん)

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 2024年が幕を開け、ザトウクジラの回遊が見られるシーズンを迎えた徳之島で1月6日、「マリンサービス海夢居(かむい)」(徳之島町徳和瀬)による新年初のホエール・ウオッチング・クルーズが行われた。

しぶきがかかりそうな距離で見ることができる豪快なブローの様子

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 時期的に見られる確率は五分五分の中、徳之島内外の家族連れが親子のザトウクジラに出合う幸運に恵まれた。

 例年北風が強く海況も荒れる日が多い冬場の徳之島で、この日は天気にも波にも恵まれ、急きょツアー参加を呼びかけたところ、徳之島内外から14人が集まった。出航前には、マリンサービス海夢居・代表の鈴木竜爾(りゅうじ)さんが注意点とクジラに関する知識を伝え、本格シーズン前であるためクジラに出合う確率は50%と説明した。

 夏場はアラスカなど北の冷たい海で、食餌を中心に生活しているザトウクジラが6000キロもの距離を旅して奄美群島や小笠原、ハワイの島々へ現れるのは12月~3月。そこでは交尾、出産、子育て中心の生活を送る。徳之島でも毎年この時期に見られるようになるが、個体数が増えるピークは2月~3月中旬のため、1月初旬に出会えるかどうかはタイミングと運にかかっている。

 出航から約10分後、最初のブロー(息継ぎ)が確認され、船を近づけると生後1カ月前後の子クジラに伴泳する母クジラとの2頭を確認。参加者からは大きな歓声が上がり、全員手に手にスマホをかざし、貴重な瞬間を動画に収めようと海面を見つめ続けた。成体の場合、通常5分から7分、長ければ15分ほど潜って呼吸のサイクルを繰り返すが、子クジラに泳ぎ方を教えている様子の母クジラは深く潜ることなく、約5分のサイクルで海面に現れ参加者を喜ばせた。

 船や人を警戒する様子もなく、船首から5メートルほど先まで近寄っても、悠々と小さな子クジラにピタリと寄り添って泳ぐ母クジラ。東京から家族で徳之島を訪れていた原田美幸さんは「大自然あふれる徳之島で多くの動物に触れ、その最終日にクジラが見られて最高の締めくくりとなった。忘れかけられている本来の豊かさが、この徳之島にはあると思う」と満面の笑みを見せた。

 深く潜る直前に見える、尾びれの裏側を写真に収められれば、以前どこに現れた固体か識別が可能だが、この日、ゆったりと海面を泳ぐ2頭の尾びれは最後まで確認できず、親子は悠然と北の方向へ向かって行った。

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