1963(昭和38)年9月に落成式を行い、60年にわたり伊仙町行政の舞台となった伊仙町役場がその機能を終え、9月24日、閉庁式とともに、新庁舎第1期工事完了と移転に合わせて新庁舎開庁式が行われた。
両式典には歴代副町長や総務課長が招かれ、思い出の詰まった旧庁舎への感謝と新庁舎への希望を祈願した。1962(昭和37)年に町制施行された伊仙町は、翌年に庁舎の建設と落成を迎え、徳之島内では有数の大型コンクリート建物として知られた。当時は、伊仙町の人口が最も多かった時代(ピーク時は1960年の1万6234人)で、周辺を水田に囲まれ、「突如立ち上がった巨大建造物に当時の人たちは驚いた」と閉庁式式典でのスピーチで語られた。
新庁舎は旧庁舎の南側に建てられ、延べ床面積3362.6平方メートルの鉄筋コンクリート4階建てで、2階部分からカーブを描いて張り出すコンクリート屋根と、コンクリートの梁の内部全面に張られたガラス面が特徴。内部もカーペットや天井部、事務什器が暗系色で抑えられ、採光の明るさとのコントラストが目を引く落ち着いたデザインに仕上げた。
テープカットを務めた面縄小学校6年の米田詩妥(うた)さんは「旧庁舎で初めて子ども議会に出させてもらい、今日新庁舎のテープカットを真ん中でさせてもらって、町長になったような気がした。伊仙町にエレベーターのある建物ができて、中もとてもおしゃれでかっこ良く、中学生になったらこの場所でまた子ども議会に参加したい」と話した。
基本的なコンセプトは「開放的で住民に親しまれる庁舎」「住民の安心安全の確保」「高度情報化社会への対応」「環境に配慮した庁舎」。開庁式の後は住民向け内覧会が開かれ、多くの住民が新しい伊仙町庁舎内を見学した。子育て支援課に勤務する富育美さんは「新庁舎で仕事ができる機会に恵まれたことに感謝の気持ちが大きい。心機一転、この場所で未来のまちづくりに関わっていきたい」と意気込む。
同日夜には「徳之島交流ひろばほーらい館(伊仙町伊仙)」で、ヒップホップグループ「ET-KING」による伊仙町役場新庁舎落成記念ワンマンライブが行われ、30~40代を中心に満員の客席は大いに沸いた。
第2期工事では旧庁舎の解体、多目的ホールやエントランス整備、駐車場など外構工事などを予定し、全体の完工は2024年9月を予定する。