沖永良部島の知名町住吉字(あざ)で9月22日~24日の3日間、鹿児島大学の金子ゼミ生ら8人を招いて交流が行われた。
住吉字では、知名町まちづくり活動支援事業の一環として、住民が地域にある魅力的な資源(文化・自然・地域環境)を生かして持続可能な地域づくりを目指す取り組みが行われている。初めて沖永良部島を訪れた学生らから、字(あざ)で活動し体験したことから得たアイデアや、地域の良いところを掘り起こして、新しい提案をもらうのが目的。
1日目は、地域の概要とプロジェクトについて説明した後、住吉字を散策し、地域の雰囲気を感じてもらった。海のきれいさに感動し、写真フォルダーが海の画像で埋め尽くされる学生もいた。
2日目は、「住みよい地域にするためにどうすれば良いか」をテーマに21人の住民らとワークショップを行った。子どもから高齢者まで幅広い年齢の住民が参加した。学生から出た移住者目線の提案に感心する住民の姿や、地域の子どもたちが活発に意見を出すことに驚く学生の姿が見られた。
鹿大の瀧山陽介さんは「とにかく人が温かい。離島は高齢化で活気がないイメージだったが、ワークショップでは子どもから高齢者まで参加し、みんなで意見を出し合って、僕たちの意見も受け入れてくれた。マイナスな離島のイメージとは正反対で、とても活気のある地域」と振り返る。
プロジェクトの事業を統括する中西勇勝さんは「赤土が鮮やかできれいと感動する学生の姿が印象的だった。身近にありすぎて価値が分かっていなかったが、島外から来た人が新鮮と感じたことを大切にして、住みよい住吉づくりに生かしたい」と前を向く。
鹿大の金子満准教授は「住民の、字を良くしたいという熱い思いが学生たちにも伝わり、どうすれば役に立てるのかを本気で考える姿が見られた。3日間の取り組みは終わったが、学生たちは既に住吉字のために、次にどうするかを具体的に考え始めている。これも住吉字プロジェクトの積み上げや、もともとあった住吉の特性が学生の心を動かしたのでは。学ぶことの大切さや、理解し合える環境の重要性を感じ、互いにとって未来に向けた良い取り組みになった」と話す。