国連が制定する「国際平和の日」の9月21日を含む「国際平和の日ウイーク」に合わせて同16日、徳之島コーヒーの森の秘密基地で「平和の種まきシアター」として映画「戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン」が上映された。当日は、島内の家族連れ、島外からの大学生など20人ほどが、思い思いの一夜を過ごした。
森の焙煎(ばいせん)所内で開催された「平和の種まきシアタ―」
「国際平和の日」は1981年に国連により宣言され、この日は全世界で休戦し、全ての人々にとって共通の理想である国際平和を推進していく日として、国連加盟国、国連機関、地域組織やNGO、そして個人に対して、この日を祝うよう呼びかけている。国連本部では、毎年この日に合わせて国連事務総長が「国連平和の鐘」を鳴らす特別記念行事を行っている。
徳之島をコーヒー生産拠点とする宮出珈琲(コーヒー)園代表の宮出博史さんが、「国際平和の日ウイーク」に合わせ、平和の種まきシアタ―、キャンプファイア、持ち込みバーベキューや森の中でのテント泊を企画した。「戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン」は、世界最古のワイン産地の一つでもあり、古くから地中海の交易の中心の一つだったレバノンを舞台に、戦争中もワインを造り続けてきた不屈のワインメーカーを描いた映画で、彼らが戦時下を経て幸福に生きる秘訣(ひけつ)や人生哲学を語るドキュメンタリー。
宮出珈琲園にファームステイで2週間滞在していた慶応義塾大学1年の田原茉弥さんは「争いが絶えない世界が今も存在する中で、それでも農業を続ける力強さを感じた。普段自分たちが忘れがちな平和のありがたみを改めて確かめる平和の日らしい時間を過ごすことができた」と振り返る。
家族連れの中には小さな子どもたちも同席。難しい内容でも眠らずに見終えた子どもも多く、子どもたちなりに自分事として捉えていた様子だった。映画上映後は参加者でキャンプファイアを囲み、自然に囲まれながらたき火で肉を焼き、森の音を聞きながら静かな時間を過ごした。その後、それぞれにテントを張って森の中で眠りについた。翌朝は鳥のさえずりを目覚ましに、徳之島コーヒー付きのモーニングで朝を迎えた。
宮出さんは「元々大阪でバルを経営している時、月1回、『種まきシアター』を開いていた。徳之島でもいつかと思っていたので感慨深かった。 コーヒー園ではエチオピア、ケニア、ジャマイカやブラジル、インドネシアなど、世界各国から海を越えて奄美の森で共生してコーヒー苗木が育っているのに、人間の世界はいつも争ってばかりいるなと、 森から習うことはまだまだ多い」と話す。
宮出珈琲園では今後も、イベントなどを企画していく予定。