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徳之島出身の俳優の卵、高校在学時の初監督作品を故郷で上映

「つむぎのうた」上映後、次回作の共演者と共に壇上で客席に語りかける野中加那さん(左)

「つむぎのうた」上映後、次回作の共演者と共に壇上で客席に語りかける野中加那さん(左)

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 徳之島で生まれ育ち、現在俳優としてキャリアを積みつつある野中加那さんが高校3年の夏に初監督・主演した短編映画が8月22日、徳之島町文化会館(徳之島町亀津)で上映され、多くの島民が鑑賞に訪れた。

上映後、観客を笑顔で見送る野中加那さん

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 野中さんは中学時代から俳優を志して東京の高校に入学。コロナ禍でさまざまな制約を受けたものの高校最後の夏に東京で学んだことを形にしたいと、春から初監督作品の構想を練り始め、夏の間に故郷である徳之島での撮影を完了した。作品は5月から、ユーチューブで公開。上映会では、本編の上映とともに、撮影の裏側を撮りためた「つむぎのうたメイキングドキュメンタリー」も同時公開し、詰めかけた観客は、よく知った風景、よく知った人の顔ぶれに歓声を上げた。

 「つむぎのうた」は野中さんが構想し、地元で撮影経験、演技経験のある徳之島の人々が脚本や編集、作曲を務め、主題歌は野中さんによる作詞と歌で構成する。徳之島の高校生である主人公のつむぎと2人暮らしをしていた祖母、美紀子とのつながりや思い出がメインとなるストーリー。鍵となるシーンの撮影日には、野中さんの実体験も重なるという運命のような偶然も重なり、舞台上でその日の出来事についても観客に向かって語りかけた。

 来場した清瀬利律子さんは「いつも見慣れていると思っていた徳之島の風景を、こんなに美しく切り取ってくれたことに感動を覚えた。祖母との関係も、島でたくさんの愛情を受けて育った彼女だからこそ、描けるストーリーだし、徳之島ならではの表現だったと思う」と感動冷めやらぬ様子で語った。

 次回作は、少子化が進む日本にあって出生率日本一の徳之島を舞台に、里親をしている男性の物語で、徳之島の人の温かさや文化、人間模様を映し出すドキュメンタリーを現在撮影中。同作品の撮影のため5月からクラウドファンディングで協力を呼びかけ、1カ月で当初目標の283%、141万7,500円を集め、徳之島、東京のスタッフと共に完成を目指している。

 野中さんは「島全体が家族のように、人と人とのつながりが強く、子育てしやすい徳之島に生まれ育って、この島が故郷で本当に良かったと東京に出て改めて強く感じている。これからも徳之島の魅力を伝え、島に住んでいる人たちが誇りに思える作品を作っていきたい」と意気込みを見せる。

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