作家の岩崎夏海さんが3月8日、与論高校(与論町茶花)で「これからの時代の生き方」をテーマに講演を行った。
卒業式を終え、在校生が進級に備えるこの時期、「生徒が自らの将来に向け、より良い進路観や人生観のかん養を図る一助となれば」と企画された文化講演会。岩崎さんは、累計発行部数300万部を超える著書「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」で知られるベストセラー作家。同校の甲斐修校長が岩崎さんの本を読み、「悩みながら事を成した方の話を直接生徒に聞かせたい」と依頼し、登壇が実現した。
講演の冒頭、岩崎さんは「普通の人が言わない内容に抵抗を覚えると思う。疑いながら聞いてほしい」と伝え、これからの時代を生きるために必要な力について多様な経験談とともに語った。非言語コミュニケーションや自分を信じることの重要性を伝える一方、「感情を解放して生きる」「他人と比較していい」など、岩崎さんならではのメッセージもあり、生徒らは興味深く聞き入っていた。岩崎さんは「いつも同じ話をしているわけではない。生徒たちが今回の話を引き出してくれた」と振り返る。
講演後、自ら生徒を代表してあいさつした2年の若松孫澄(まごすみ)さんが、「とんでもない人が与論高校に来たなと思った。個性的な話に最初から最後まで聞き入ってしまった」と、驚きと共感を熱く伝え講演会を締めくくった。
翌日には有志の生徒12人が岩崎さんを囲み、座談会が行われた。「小説家になったきっかけ」「高校時代にしておくべきこと」など、芸術から映画、文学に至るまで話題は幅広く、岩崎さんはその一つ一つに丁寧に答えていった。生徒会長の川畑光麗(みれい)さんは「この時期にいろいろな話を聞けて、未来を考えるための参考になった。与論高校全体が、より良くなるきっかけになるのでは」と期待を込める。