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「与論島のポケモンたち」 スマートフォンで作品を制作する81歳の写真家

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 与論島の景色の中に現れた「ポケモン」のキャラクター。今年2月の「生涯学習フェア・与論町文化祭」で人々の目を引く写真を撮影したのは、81歳の和田美代子さんだった。

 写真は、スマートフォンの位置情報を活用したゲームアプリ「ポケモンGO」のスナップショット機能を使って撮影したもの。これまでに撮影した写真は1万枚を超え、「与論のポケモンたち」というプライベートの写真集(非売品)2冊も制作している。写真集には、与論の美しい景色にゲームのキャラクターが融合した不思議な世界が広がる。

文化祭ステージを撮影する和田さんのスマートフォン 

 和田さんは日本大学芸術学部写真学科で学び、これまで写真家として活動してきた。同じく写真家の夫、和田清州さんと共に2008(平成20)年に与論島へ移住。ダイビングをしながら与論の海の写真を撮ってきた。

 きっかけは、「ポケモンGO」のためにスマートフォンを持って家の周りをうろうろする若者を見てゲームに興味を持ったこと。ゲームのためにスマートフォンを購入し、のめり込んだ。これまで花の写真を出品していた、日本大学芸術学部写真学科OGによる「あじさい会写真展」などの写真展にも、ポケモンの写真を出品するようになる。

 「同じ子は一匹もいない」「これが黒く変化するのよ」「(ゲームで)50匹、100匹ポケモンを捕まえないと次の段階に変化しないから無限に時間を使ってしまう」など、和田さんのポケモンの話は尽きない。

文化祭の展示写真と並ぶ和田さん

 それぞれの写真は、風景に合った色合いや構図、その時のテーマに合わせて「ポケモン」を選んでいる。コロナ禍の時は少し困った顔のポケモン、コロナ禍後は踊って楽しい感じのポケモンなど、作品として意図を込めている。和田さんは「どんどん変わりゆく与論の風景を残していきたい。その中に大好きなポケモンを入れたい」と話す。

 写真集には、和田清州さんが撮影した風景写真もあり、中にはドローンを操作して撮ったものもあるという。2人とも、新しいツールを取り入れることには抵抗がないという。現在、3冊目の写真集を制作している。

77歳の時に作った一冊目の写真集

本記事は、奄美群島南三島経済新聞の特集「地域とインターネット」の与論版です。同じテーマで、奄美群島南三島(沖永良部島、徳之島、与論島)から1つずつ記事をお届けします。

・沖永良部島「内地と島の架け橋に 沖永良部島の国頭字が公式サイトとユーチューブ始める」
・徳之島「長寿の島・徳之島でインターネットと格闘する高齢者に聞く」
・与論島「『与論島のポケモンたち』スマートフォンで作品を制作する81歳の写真家」

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