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徳之島の中学生選抜チーム、離島甲子園で準優勝の快挙 選手ら凱旋帰島

一戦ずつ勝ち進み「ワイドワイド!」(闘牛のかけ声)で喜ぶ徳之島選抜選手たち(写真提供=徳之島町)

一戦ずつ勝ち進み「ワイドワイド!」(闘牛のかけ声)で喜ぶ徳之島選抜選手たち(写真提供=徳之島町)

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 全国の離島球児の憧れとなる「第16回全国離島交流中学生野球大会」(通称「離島甲子園」)が 8月18日~21日、沖縄県宮古島市内で行われた。

準優勝の凱旋で徳之島3町を回って報告した徳之島選抜チーム

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 決勝戦では奄美勢初となる「徳之島選抜チーム」が地元「宮古島アララガマボーイズ」と対戦し、徳之島は惜しくも0-1で敗れたものの、選手たちが見せたひたむきなプレーと快進撃に、地元・徳之島は歓喜に包まれた。

 同大会が生まれたのは、元プロ野球選手で、「マサカリ投法」で名をはせた伝説のピッチャー、故村田兆治さんの熱い思いがきっかけ。現役引退後の村田さんは、全国各地で子どものための野球教室を開く中で、離島の子どもたちが置かれている厳しい環境を目の当たりにした。人数的にチームが組めない、練習試合にも船や飛行機の異動で費用と時間がかかる、結果、試合経験が少ないなどの現実を前に「本土の子どもたちと同じように、野球に打ち込む島の子どもたちに、目標となる夢の舞台を作ってあげたい」との思いで全国の離島を飛び回り、多くの賛同と協力を得て、2008(平成20)年、記念すべき第1回大会が開催された。

 「打倒、初戦の壁」を合言葉に、3度目の離島甲子園に臨んだ今大会チームの主将を務めた太良塁伸(たら・るいしん)選手は「練習は本当にきつかった。でも、みんなで声を掛け合い、『絶対に強くなるんだ』と信じてやってきた」と、大会前の厳しい日々を振り返った。宮古島選抜に勝利して初戦の壁を破るとチームは勢いに乗り、対馬ヤマネコボーイズ、久米島ゴールデンキングス、石垣島ぱいーぐるズと、強豪相手に粘り強い戦いで勝利を重ね、決勝の舞台に立った。

 決勝戦の相手は、地元応援団が大きな声援を送る宮古島アララガマボーイズ。息が詰まる投手戦で両チーム一歩も譲らぬ展開に、徳之島町役場で行われたパブリックビューイングでは、太鼓や応援バルーンを鳴らし、「頑張れ!」という声援が響き渡った。最終スコアは0-1で徳之島選抜はあと一歩及ばなかった。

 保護者の一人は「準優勝なんて夢のよう。子どもたちから最高の宝物をもらった」と満面の笑みで話し、遠征費用の捻出や日々の食事・健康管理など、選手たちの活躍を支えたそれまでの苦労を上回る大きな喜びを実感したという。

 準優勝旗を手に選手たちが徳之島空港に降り立った8月22日、横断幕や手作りのうちわを手にした大勢の島民で埋め尽くされた。鳴りやまない拍手と歓声に、選手たちは胸に輝く銀メダルを誇らしげに掲げて応えた。

 出迎えた幸田順一郎伊仙町教育長が「決勝は優勝に匹敵する素晴らしい戦いだった。島に大きな勇気と感動を与えてくれた」と選手たちの健闘をたたえると、ひときわ大きな拍手が沸き起こった。主将の太良選手は「僕たちだけではここまで来られなかった。監督、コーチ、そして何より、どんな時も支えてくれたお父さん、お母さん、島で応援してくれた皆さんの声援があったから。本当にありがとうございました」と出迎えた人々の前で深々と頭を下げた。

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