
与論町が九州の自治体で初となる独自の認証制度「サステナブル畜産認証」を創設し、認証第1号に経産牛(出産を経験した母牛)の肥育に取り組む地元企業「島結ファーム」が選ばれ、与論町役場8月13日、記者発表会が行われた。
同認証は、町の観光振興計画「持続可能な観光地づくり」に基づき、「島ぐるみの持続可能な農業」を目指して独自に設けた。農畜産業における環境への配慮や動物福祉、地域循環型畜産などを評価基準とし、持続可能な畜産業の推進を図る。
島結ファームは、肉用牛繁殖農家と園芸農家が集まり、島の自然を生かした経産牛の肥育に取り組む。酒井祐次社長は「今回の認証をスタートとし、さまざまな分野と連携して、与論の自然と共に生きた和牛を日本や世界へ伝えたい」と意気込む。
今回の認証取得には、熟豊ファーム(島根県雲南市)が飼料設計やメタン抑制技術、動物福祉対応のノウハウと技術支援を、和牛商社「銀閣寺大西」(京都市左京区)が販売面で企業パートナーとして協力している。
銀閣寺大西常務の大西英毅さんは、認証の意義について、「海外のスーパーマーケットやホテルに販売する場合、オーガニックやサステナブルな商品であることの第三者認証がないと取り扱ってもらえないことがある。もともと取り組んでいたことが価値として可視化したことに意味がある」と話す。
今後は、認証を取得した経産牛をブランド化し、国内外での販売強化を目指す。銀閣寺大西のブランド「熟」として、国際的な品評会への与論牛の出品も予定しているという。