
映画「ゆめパのじかん」の鑑賞会とトークセッション・シンポジウムが8月11日・12日、与論町地域福祉センター(与論町茶花)で開かれた。主催はNPO法人「よろん子育て応援隊あんまぁ~ず」。
同作品は、神奈川県川崎市にある子どもの居場所「川崎市子ども夢パーク(通称「ゆめパ」)」を舞台にしたドキュメンタリー。子どもたちが自分らしく過ごすかけがえのない時間を、情緒豊かに描く。ゆめパは2000(平成12)年に制定された「川崎市子どもの権利に関する条例」に基づき、市民の意見を取り入れて整備された。1万平方メートルの広大な敷地には、プレーパークや音楽スタジオ、制作スペースなどがあり、不登校の子どものための「フリースペース・えん」も併設する。
初日は映画上映後、トークセッションを行った。同NPO代表の内野正世さんと「Smileポノ」代表の遠山恵美子さん、与論高校の生徒2人が登壇した。特別ゲストに、ゆめパの所長を15年間務めた認定NPO法人「フリースクールたまりば」理事長の西野博之さんを招いた。
2日目のシンポジウムでは、西野さんが「だいじょうぶのタネをまこう」をテーマにした基調講演を行い、与論町子ども未来課の光俊樹課長が「子ども第3の居場所、与論町方針」について発表した。パネルディスカッションには西野さん、内野さん、光さん、中山義和教育長の4人が登壇し、質疑応答や意見交換を活発に行った。
映画を鑑賞した小学生は「大人に何も言われず、やりたいことができる場所があれば遊びに行きたい。与論島にも『ゆめパ』のような場所をつくってほしい」と話していた。
保護者の一人は「映画や西野さんの言葉に感動した。子どもたちが安心して過ごせ、何をしても何もしなくても受け止めてもらえる場所があれば、自ら考え歩んでいくはず。子どものためと言いながら、大人の都合を押し付けていないかという問いにハッとさせられた」と振り返る。
内野さんは「2年前に『ゆめパ』を視察し、与論にもこのような場所が必要だと感じた。念願かなって西野さんを島に招くことができた。一人でも多くの人の心に届いてくれればうれしい」と話す。