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徳之島にフランス人カップル 偶然の出会いに導かれ来島、島人の優しさに感謝

徳之島行きのきっかけとなった上田さん主催のお別れパーティーで島の子どもたちへフランススイーツを披露するミドリさんとセンペイさん

徳之島行きのきっかけとなった上田さん主催のお別れパーティーで島の子どもたちへフランススイーツを披露するミドリさんとセンペイさん

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 日本を1年間かけて旅するフランス人カップルが7月5日に徳之島入りした。2人は観光地化されていない日本の各地を巡っており、徳之島には8月2日まで滞在する。

釣り上げた大きな魚と共に

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 当初、徳之島を訪れる計画はなかったが、屋久島の居酒屋で出会った徳之島出身の男性との縁で、立ち寄ることを決めた。2人を驚かせたのは、徳之島の人特有の寛容な大らかさと、他のどこにもない新しい日本の発見だった。

 日本人の父とフランス人の母を持つミドリ・ゴトウさんは、パートナーのローマン・センペイさんと共に3年前から日本行きを計画してきた。主な目的は、父のルーツである日本と日本文化をより深く知るため。以来、ミドリさんは海洋生物研究者として、センペイさんは魚類モニター技師として、それぞれ働きながら貯金をして、1年かけて大阪、四国、そして日本の離島、特に屋久島と沖縄を中心に滞在する予定を立ててきた。

 屋久島に滞在中のある日、居酒屋で隣り合わせた上田裕二さんに声をかけられた。徳之島出身の上田さんは「沖縄に行くなら、その前に徳之島に寄らないと」と気軽に話してくれ、それまで予定にもなく、地図上でチェックもしていなかった徳之島に俄然興味が沸いたため、沖縄行きの前に徳之島にも滞在することにした。

 船で徳之島に到着した瞬間、2人は徳之島に恋をした。島の人々は想像を遥かに超えて親切で、初日から日本で最もお気に入りの場所となった。2人は徳之島に1カ月滞在することに決め、沖縄滞在をキャンセルし、毎日続く非日常と島に流れる独特の時間を楽しんだ。朝に海へ行き、夕方には海辺を散歩しながら地元の人たちとの交流を心の底から楽しんだ。夜も島を探索し、ハブやアマミノクロウサギ、固有種であるオビトカゲモドキなどを間近で見ることができ、多くの写真や動画に収めた。

 徳之島を離れる1週間前の27日には、徳之島行きのきっかけとなった上田さんが会社の事務所で小さなお別れパーティーを開いてくれ、同時期に滞在していた他のフランス人グループと共に取れたての島魚やイセエビ、マンゴー、パッションフルーツ、スイカなど旬の熱帯果樹を味わった。2人はセンペイさんの地元マルセイユからのリキュールを持参し、島の人たちは初めての味に興味津々だった。

 ミドリさんは「日本人全ての人の他者を敬う態度、清潔さ、優しさ、そして寛大さにいつも敬意を払ってきた。今回初めて徳之島という場所に足を踏み入れ、ほとんど情報のない、隠された宝石箱のようなこの島を、これから日本に来るツーリストには強く薦めたい」と笑顔で話す。今後2人は四国へ向かい、ミドリさんの父方のルーツである徳島県を訪れて阿波踊りを経験する予定。

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