2023年度に3カ年計画で始まった「徳之島国際ユースキャンプ」が今年も12月2日から8日間の日程で開催される。
「いせん寺子屋:世界の大学生と徳之島を語ろう」の告知ポスター
主催は東京大学先端科学技術研究センター(東京都目黒区)で、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ大学、モスタル大学、バニャルカ大学と、韓国の江原(カンウォン)国立大学、東京大学、慶応大学の学生が徳之島に滞在する。
昨年度始まった「徳之島国際ユースキャンプ」では、戦争の記憶の伝承について日本と海外で相互理解を深める文化外交を目的としている。ボスニア・ヘルツェゴビナからは、内戦を経て対立する3民族(セルビア人、クロアチア人、ボシュニャック人)を代表する大学からそれぞれ2人ずつが参加予定で、戦争を経験した学生たちと韓国・日本の学生たちが、互いの社会や歴史を学び、それぞれの社会での戦争の記憶との向き合い方を再検討することを目指す。併せて徳之島の歴史も学び、日本における奄美群島が置かれた歴史的意義を再発見することも目的とする。
12月7日には、伊仙町立犬田布小学校を会場に、地元小中高生と参加学生との英語での交流会を予定。昨年度も約70人の地元小中高生が参加し、徳之島にいながらにして全く異なる歴史や背景を持つ国の人々と触れ合える貴重な機会になる予定。
昨年度参加した東京大学大学院人文社会系研究科の坪井俊樹さんは「中学生の時に教科書に1行あった『1953年奄美諸島返還』という記述を見て以来、今回のキャンプで初めて日本復帰への血のにじむような苦難の歴史を知った。ボスニアでの内戦、20世紀の数々の大戦での経験も、その経緯と現在へのつながりを知ることで、何を解決し、何を次世代に引き継ぐのか、それを学び、考え、実践するのが学生の務めだと感じた」と話す。